長く、しなやかな脚が優雅に組まれているだけで、その人の美しさは劇的に高められる。
短いスカートから伸びる肉感的な太腿、そして華麗な脹脛のラインが、踵の高い黒革のハイヒール・サンダルで完結している。
それは、既にひとつの物語だ。
その物語に、多くのマゾヒストは狂喜し、そして屈服する。
彼女の脚は魔力を秘めている。
それはまるで朝露に濡れて輝く蜘蛛の巣のようだ。
そして官能の毒蜘蛛である彼女は、世界を絡め取っていく。
その魔力から逃れることは難しい。
なぜなら、彼女の美は、この世で最高の権力だからだ。
その前では、いかなる人間も等しく無力だ。
誰もが跪かずにはいられない。
或る人はそれを時に運命、もしくは宿命と呼ぶ。
彼女が、軽く蹴るようにしてハイヒール・サンダルを脱ぐ。
赤く塗られた爪が、部屋の明かりを撥ねて煌めく。
足の甲が透き通るように白い。
可憐な指先が、誘うように蠢く。
その造形は、完璧だ。
そして彼女はいう。
「足にキスして」
美しい人の脚には、神が宿っている。
2004-08-18
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