イライラしていた。
仕事でミスをしでかして上司に散々嫌味をいわれ、君は鬱屈した気持を抱えたまま帰宅した。
2DKの自室に戻っても、その苛立ちは収まらない。
寧ろ、ひとりになったことによって、その鬱積したストレスは肥大しつつあった。
君は観ていたテレビをリモコンで消した。
つまらないバラエティショウだった。
無性にビールが飲みたくなった君は、財布を持つと、ひとり暮らしのマンションを出た。
単身赴任は、こういうときに辛い。
妻は、千キロ以上も離れた町で、ふたりの子供と一緒に暮らしている。
君は、部屋着であるスウェットパンツにトレーナーという姿のまま、住宅街の中の道を歩いていく。
上空の月が円い。
雲が殆ど無い出ていないので、その夜空は明るい。
真夜中の青空だ。
どこかで犬が鳴いている。
やがて前方にコンビニの明かりが見えてきた。
君はコンビニに入ると、雑誌のコーナーでエロ雑誌を立ち読みする。
すると、次第にモヤモヤとした気分になってきた。
考えてみると、前回に自宅に戻った三ヶ月前以来、全く女性に触れていない。
グラビアの女性は、挑発的だ。
君は、世間的には真っ当な夫婦生活を営む普通の男だが、実際は、変態だ。
強度のマゾヒストで、小遣いに余裕があるときは、SMクラブにも通っている。
君は、雑誌のグラビアを見ているうちに、自分の内部でマゾの炎がメラメラと燃え上がってくるのを自覚した。
自分よりも一回り以上年下のグラビア・アイドルたち……。
そんな魅力的な彼女たちに辱められている自分を、つい想像してしまう。
君は雑誌を棚に戻すと、クアーズ・ライトの缶とピーナッツを買って、コンビニを出た。
相変わらず、月が美しい。
君は、コンビニのビニール袋をブラブラさせながら、無人の街路を歩いていく。
深夜の散歩だ。
周囲には自分の気配だけ……サンダルのパタパタという足音だけが響いている。
そのとき、危険な誘惑が君を捕らえた。
そして君は、呆気なく屈服してしまう。
君は、スウェットパンツをそっと下ろした。
そしてさりげなくペニスを露出する。
なぜか、君のペニスは完全に勃起している。
剥きだしの亀頭を、夜風がそっと撫でていく。
君はごく普通に歩きながら、そのペニスを握り、軽くシゴいてみる。
その心の内では、「誰かに見られたら終わりだ」という恐怖と、「誰かに見られたい」という期待が、激しく鬩ぎあいながら葛藤している。
2004-11-08
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