大きなガラス窓の向こう、超高層ビルの灯が、まるで夢のように輝いている。
君は全裸のまま、大きなガラス窓の前に立つ。
32階の部屋から見渡す夜の街は、光の洪水のようだ。
君は、真っ暗な部屋の窓辺で、まるで宙に浮いているかのような錯覚に捕らわれている。
ガラスに手をつき、眼下を見下ろすと、ホテル前の公園に、巨大なクリスマスツリーが立てられている。
色鮮やかな電飾が、行き交う人々の肩に光のシャワーを降らせている。
幸せそうな恋人達が、冬の舗道を寄り添って歩いていく。
背後で、グラスの中の氷が解けて崩れ、涼しげな小さな音を響かせた。
君は、その音でふと我に帰り、振り向く。
整えられたままの未使用のダブルベッド。
仄かに白く闇に浮かぶライトスタンドのシェード。
その傍らに、艶かしく夜の光を翻すボンテージの彼女。
彼女はベッドの縁に浅く座り、煙草を吸っている。
淡い煙が、繊細な指に挟まれた煙草の先から不安定に立ち昇り、揺れている。
彼女が煙草を消し、静かに立ち上がった。
そしてゆっくりと君に近づいてくる。
その右手には鞭、左手には毒々しいまでに赤いバイブレーターがある。
「窓に手をついて、尻をこちらへ突き出しなさい」
彼女の声が、鞭の一閃とともに君に突き刺さる。
君の下腹部に赤い鞭の跡が刻まれる。
「はい」
君は命令どおりの姿勢をとった。
その尻に、さらに鋭い鞭の痛みが走る。
「もっと高く!」
「はい!」
君は爪先立ちになって、必死に尻を掲げる。
と、そのとき、バイブのスイッチが入れられ、静かな室内に微かなモーター音が満ちた。
暗いガラスの反射の中で、彼女が鞭を捨てる。
そして、テーブルの上に置かれたローションのボトルに手を伸ばす。
やがて、尻に冷たい感触が伝わった。
彼女が、君の尻の肉を広げてたっぷりとローションを垂らし、君の卑猥な穴をバイブの先端でなぞり始める。
そして少しずつ、少しずつその異物感が君の中に入ってくる。
君は爪先立ちのまま膝を震わせてその感触に酔い痴れる。
ピストンが次第に大胆になっていく。
それに合わせて、君は窓についた手に力を込め、ゆっくりと淫らに腰を振る。
君の口から低い喘ぎ声が漏れ始める。
彼女はガラスの反射の中で、唇の端を歪ませながら、侮蔑の笑みを浮かべている。
君はガラス窓に額を押しつけながら快感に貫かれている。
午前零時五分前。
32階の窓から見下ろすクリスマスツリーは、世界を聖なる光で満たしながら、不思議な形をしている。
2004-12-19
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