君は脱衣室に入り、衣服を脱いでいく。
そして、上半身だけ裸になって、洗面台の鏡を見る。
曇りガラスがはまった扉の向こう、バスルームから湯音が聞こえる。
天井に埋め込まれた柔らかな照明が、君の体を照らす。
君の体には、赤い筋が何本も走っている。
すべて、一時間前に女王様によって刻まれた鞭の跡だ。
君は今夜、一ヶ月ぶりにクラブでプレイをした。
そして、まっすぐ一人暮らしのアパートへ帰ってきた。
時刻はもう午前零時を回り、日付が変わった。
君は鏡の中の自分と対峙する。
そして、そっと乳首に触れてみる。
もう血は止まっているが、針の痕跡は残っている。
乾いた血が薄くカサブタのように肥大した乳首に寄り添っている。
君の乳首は卑猥だ。
長期間にわたって何度となく繰り返し施された調教によって、肉が凝り固まり、肥大してしまっている。
そういえばもう何年もプレイ以外で、人前で裸になったことはないな……と君は思う。
もちろん、こんな乳首を他人に見せられるはずがない。
君は両手で自分の乳首を同時に摘んでみる。
その瞬間、脳裏に、針が乳首を貫通した時の感覚が鮮やかに甦った。
ルーム内の照明を鋭く撥ねる銀色の針の先端が君の乳首に触れる。
その冷たい感触に、君は全身を強張らせる。
やがて、針の先端が肉を刺し、ゆっくりと深く沈められていく。
君は脂汗を全身に滲ませながら、その様子を凝視する。
針は、スローモーションで君のいちばん敏感な部分を貫いていく。
血が、細く一筋、肌を伝って落ちていく。
それは君にとって、生の証だ。
君はその血の感触で、自分が生命体であることを認識する。
君は乳首から手を離した。
いつしか頬が上気している。
君のペニスは、禍々しく屹立している。
2005-04-09
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