窓越しの空の色が、少しずつ変化していく。
君は全裸のまま床で犬のようにお座りをして、その色彩の変化を見つめている。
首輪に取り付けられた鎖は、ベッドの脚に繋がれている。
この部屋には、ベッドしか置かれていない。
君の手は、背中に回されて、頑丈な革のベルトで拘束されている。
八階の一室。
部屋は無音だ。
君の飼い主はまだ戻らない。
目の前のガラス製のボウルには、金色の聖水が注がれてある。
夕暮れの光が、そのボウルと聖水をキラキラと輝かせている。
喉の渇きを覚えた君は、不自由な体を前に倒して、そのボウルに屈みこむ。
そして、手は使えないので、ボウルの中に顔を入れ、舌で聖水を掬う。
金色の飛沫が撥ね、君の顔を濡らす。
その聖水は既に温もりを失っている。
飼い主の亀裂から、君の目の前でそれがボウルに注がれたのは、もう二時間も前だ。
ボウルの傍らには、その時に飼い主が使ったティッシュが無造作に捨てられている。
君は聖水を飲み干し、体を起こすと、つと窓へ視線を向けた。
窓には、カーテンが無い。
だからその視界を遮るものは、何もない。
差し込む射光のせいで、君の影が長く後方に伸びている。
磨きこまれたフローリングの床に落ちる君の影は、濃い。
君は一度、空のボウルに目を落とし、それから再び窓の外を見た。
窓の向こうには、夕暮れの空だけがある。
冬の空は透明度が高い。
指先で触れれば切れてしまいそうだ。
気温が下がり始めたようだ。
茜色に沈みゆく空にたなびく薄い雲が、ピンク・グレイに染まっている。
2004-11-25
2004-11-13
ひとひらの雪
真夜中の高速道路
トンネル内、点灯せよ
不意にオレンジ色のチューブ
まるで異空間
時速120キロ
メーターの針は安定している
ステアリングを握る彼女
助手席の君
ノイズ混じりのラジオ
しなやかなシフトチェンジ
加速するクーペ
彼女の指先に挟まれた細い煙草
不安定に漂う紫煙
前方の暗い穴
突然、再び夜の中
計器盤の淡い光
ガラスに映る、首輪の君
ヘッドライトに照らされた、ひとひらの雪
トンネル内、点灯せよ
不意にオレンジ色のチューブ
まるで異空間
時速120キロ
メーターの針は安定している
ステアリングを握る彼女
助手席の君
ノイズ混じりのラジオ
しなやかなシフトチェンジ
加速するクーペ
彼女の指先に挟まれた細い煙草
不安定に漂う紫煙
前方の暗い穴
突然、再び夜の中
計器盤の淡い光
ガラスに映る、首輪の君
ヘッドライトに照らされた、ひとひらの雪
2004-11-08
散歩の途中
イライラしていた。
仕事でミスをしでかして上司に散々嫌味をいわれ、君は鬱屈した気持を抱えたまま帰宅した。
2DKの自室に戻っても、その苛立ちは収まらない。
寧ろ、ひとりになったことによって、その鬱積したストレスは肥大しつつあった。
君は観ていたテレビをリモコンで消した。
つまらないバラエティショウだった。
無性にビールが飲みたくなった君は、財布を持つと、ひとり暮らしのマンションを出た。
単身赴任は、こういうときに辛い。
妻は、千キロ以上も離れた町で、ふたりの子供と一緒に暮らしている。
君は、部屋着であるスウェットパンツにトレーナーという姿のまま、住宅街の中の道を歩いていく。
上空の月が円い。
雲が殆ど無い出ていないので、その夜空は明るい。
真夜中の青空だ。
どこかで犬が鳴いている。
やがて前方にコンビニの明かりが見えてきた。
君はコンビニに入ると、雑誌のコーナーでエロ雑誌を立ち読みする。
すると、次第にモヤモヤとした気分になってきた。
考えてみると、前回に自宅に戻った三ヶ月前以来、全く女性に触れていない。
グラビアの女性は、挑発的だ。
君は、世間的には真っ当な夫婦生活を営む普通の男だが、実際は、変態だ。
強度のマゾヒストで、小遣いに余裕があるときは、SMクラブにも通っている。
君は、雑誌のグラビアを見ているうちに、自分の内部でマゾの炎がメラメラと燃え上がってくるのを自覚した。
自分よりも一回り以上年下のグラビア・アイドルたち……。
そんな魅力的な彼女たちに辱められている自分を、つい想像してしまう。
君は雑誌を棚に戻すと、クアーズ・ライトの缶とピーナッツを買って、コンビニを出た。
相変わらず、月が美しい。
君は、コンビニのビニール袋をブラブラさせながら、無人の街路を歩いていく。
深夜の散歩だ。
周囲には自分の気配だけ……サンダルのパタパタという足音だけが響いている。
そのとき、危険な誘惑が君を捕らえた。
そして君は、呆気なく屈服してしまう。
君は、スウェットパンツをそっと下ろした。
そしてさりげなくペニスを露出する。
なぜか、君のペニスは完全に勃起している。
剥きだしの亀頭を、夜風がそっと撫でていく。
君はごく普通に歩きながら、そのペニスを握り、軽くシゴいてみる。
その心の内では、「誰かに見られたら終わりだ」という恐怖と、「誰かに見られたい」という期待が、激しく鬩ぎあいながら葛藤している。
仕事でミスをしでかして上司に散々嫌味をいわれ、君は鬱屈した気持を抱えたまま帰宅した。
2DKの自室に戻っても、その苛立ちは収まらない。
寧ろ、ひとりになったことによって、その鬱積したストレスは肥大しつつあった。
君は観ていたテレビをリモコンで消した。
つまらないバラエティショウだった。
無性にビールが飲みたくなった君は、財布を持つと、ひとり暮らしのマンションを出た。
単身赴任は、こういうときに辛い。
妻は、千キロ以上も離れた町で、ふたりの子供と一緒に暮らしている。
君は、部屋着であるスウェットパンツにトレーナーという姿のまま、住宅街の中の道を歩いていく。
上空の月が円い。
雲が殆ど無い出ていないので、その夜空は明るい。
真夜中の青空だ。
どこかで犬が鳴いている。
やがて前方にコンビニの明かりが見えてきた。
君はコンビニに入ると、雑誌のコーナーでエロ雑誌を立ち読みする。
すると、次第にモヤモヤとした気分になってきた。
考えてみると、前回に自宅に戻った三ヶ月前以来、全く女性に触れていない。
グラビアの女性は、挑発的だ。
君は、世間的には真っ当な夫婦生活を営む普通の男だが、実際は、変態だ。
強度のマゾヒストで、小遣いに余裕があるときは、SMクラブにも通っている。
君は、雑誌のグラビアを見ているうちに、自分の内部でマゾの炎がメラメラと燃え上がってくるのを自覚した。
自分よりも一回り以上年下のグラビア・アイドルたち……。
そんな魅力的な彼女たちに辱められている自分を、つい想像してしまう。
君は雑誌を棚に戻すと、クアーズ・ライトの缶とピーナッツを買って、コンビニを出た。
相変わらず、月が美しい。
君は、コンビニのビニール袋をブラブラさせながら、無人の街路を歩いていく。
深夜の散歩だ。
周囲には自分の気配だけ……サンダルのパタパタという足音だけが響いている。
そのとき、危険な誘惑が君を捕らえた。
そして君は、呆気なく屈服してしまう。
君は、スウェットパンツをそっと下ろした。
そしてさりげなくペニスを露出する。
なぜか、君のペニスは完全に勃起している。
剥きだしの亀頭を、夜風がそっと撫でていく。
君はごく普通に歩きながら、そのペニスを握り、軽くシゴいてみる。
その心の内では、「誰かに見られたら終わりだ」という恐怖と、「誰かに見られたい」という期待が、激しく鬩ぎあいながら葛藤している。
2004-10-28
今夜の生贄はあなた
その暗く乾いた秘密の小部屋では
夜毎、誰かが泣いています
煉瓦の壁に沁みついた快感
風が止み、闇が誘う
磔にされた倦怠
檻の影
ピン・ヒールの踵が時を刻む
声にならない声、歌にならない歌
揺れる煙草の煙、霞む希望
アイスキャンディーは悪魔のキス
淵の底を覗き込む
ハードボイルドなハートブレイク
今夜の生贄はあなた
夜毎、誰かが泣いています
煉瓦の壁に沁みついた快感
風が止み、闇が誘う
磔にされた倦怠
檻の影
ピン・ヒールの踵が時を刻む
声にならない声、歌にならない歌
揺れる煙草の煙、霞む希望
アイスキャンディーは悪魔のキス
淵の底を覗き込む
ハードボイルドなハートブレイク
今夜の生贄はあなた
2004-10-22
金木犀
濃密な夜の空気の中に強く金木犀の匂いが充満している。
深夜。
時刻は午前一時を過ぎて、公園内には全く人気がない。
園内を蛇行しながら続く遊歩道は、昼間の賑わいが嘘のようにひっそりと静まり返っている。
ホットドックの屋台も、幼子を連れた母親達の姿もない。
水銀灯の冷たい明かりだけが、まるで季節外れの蛍が凍えているかのように、音もなく瞬いている。
雑木林の影が濃い。
水銀灯の光は、その茂みにまでは届いていない。
空には、雲が広がっている。
まだ雨が降り出しそうな気配は感じられないが、空気は冷えてきている。
時折風が吹き抜け、雑木林の梢を盛大に揺らす。
葉のざわめきが、深夜の闇をより一層深くさせる。
君は今、その雑木林の中にいる。
公園内の最も奥まった場所だ。
衣服はほとんど何も身に付けていない。
君は革靴と短いナイロンのソックスを履いただけの姿で、太い木の幹に拘束されている。
その傍らには、美しい女性が立っている。
女性は、夜目にも映える白いワンピースを着ている。
そして、女性の足元には、君が脱いだ衣服と、数分前に放出した君の精液が飛び散っている。
君は、女性のしなやかな手つきによって、拘束されたまま射精を果たしたばかりだ。
「どうか、お許しください」
君は全裸で幹に縛られたまま、その女性に哀願する。
しかし、実際には何も見えてはいない。
なぜなら、君はアイマスクをしている。
そのため、君の視界は闇に閉ざされている。
「何をいってるの? おまえは変態なんでしょ?」
女性がそう冷たく言い放つ。
「で、でも……」
君は、いくら周囲が無人の雑木林とはいえ、どこで誰が見ているか気が気でなかったから、つい小声になってしまう。
女性は、そんな君を軽蔑の眼差しで見つめている。
「外で露出をしてみたいといったのは、おまえでしょ?」
「そ、そうですけど……」
「だったら、いったい何が不満だというの、全く……それじゃあ、元気でね。わたしは帰るから」
「そ、そんな……」
君は声を震わせながら呟く。
しかし女性はもう相手にせず、君の傍を離れた。
そして数歩歩いてから足を止め、屈託のない口調でいう。
「そんなに心配しなくても大丈夫よ。朝になったら誰かが見つけてくれるから」
地面の草を踏んで進む女性の靴音が、だんだん離れ、遠ざかっていく。
やがて、完全な沈黙が、水を吸った真綿のように重く君を包み込む。
風が肌を撫でていく。
金木犀の匂いが鼻を刺す。
不意に雲が切れて、青ざめた月光が君の全身を照らす。
深夜。
時刻は午前一時を過ぎて、公園内には全く人気がない。
園内を蛇行しながら続く遊歩道は、昼間の賑わいが嘘のようにひっそりと静まり返っている。
ホットドックの屋台も、幼子を連れた母親達の姿もない。
水銀灯の冷たい明かりだけが、まるで季節外れの蛍が凍えているかのように、音もなく瞬いている。
雑木林の影が濃い。
水銀灯の光は、その茂みにまでは届いていない。
空には、雲が広がっている。
まだ雨が降り出しそうな気配は感じられないが、空気は冷えてきている。
時折風が吹き抜け、雑木林の梢を盛大に揺らす。
葉のざわめきが、深夜の闇をより一層深くさせる。
君は今、その雑木林の中にいる。
公園内の最も奥まった場所だ。
衣服はほとんど何も身に付けていない。
君は革靴と短いナイロンのソックスを履いただけの姿で、太い木の幹に拘束されている。
その傍らには、美しい女性が立っている。
女性は、夜目にも映える白いワンピースを着ている。
そして、女性の足元には、君が脱いだ衣服と、数分前に放出した君の精液が飛び散っている。
君は、女性のしなやかな手つきによって、拘束されたまま射精を果たしたばかりだ。
「どうか、お許しください」
君は全裸で幹に縛られたまま、その女性に哀願する。
しかし、実際には何も見えてはいない。
なぜなら、君はアイマスクをしている。
そのため、君の視界は闇に閉ざされている。
「何をいってるの? おまえは変態なんでしょ?」
女性がそう冷たく言い放つ。
「で、でも……」
君は、いくら周囲が無人の雑木林とはいえ、どこで誰が見ているか気が気でなかったから、つい小声になってしまう。
女性は、そんな君を軽蔑の眼差しで見つめている。
「外で露出をしてみたいといったのは、おまえでしょ?」
「そ、そうですけど……」
「だったら、いったい何が不満だというの、全く……それじゃあ、元気でね。わたしは帰るから」
「そ、そんな……」
君は声を震わせながら呟く。
しかし女性はもう相手にせず、君の傍を離れた。
そして数歩歩いてから足を止め、屈託のない口調でいう。
「そんなに心配しなくても大丈夫よ。朝になったら誰かが見つけてくれるから」
地面の草を踏んで進む女性の靴音が、だんだん離れ、遠ざかっていく。
やがて、完全な沈黙が、水を吸った真綿のように重く君を包み込む。
風が肌を撫でていく。
金木犀の匂いが鼻を刺す。
不意に雲が切れて、青ざめた月光が君の全身を照らす。
2004-10-15
刻印
M字開脚で吊られているため剥き出しになっている君の股間は、妙につるりとしている。
つい先ほど、女王様によって剃毛されたばかりだからだ。
まだ剃り跡が青々としている。
大人の股間に陰毛がない光景は、非常に卑猥だ。
これで君は当分、人前で裸にはなれない。
しかも、その股間の性器は今、破廉恥にも限界までそそり立っている。
普段は皮に包まれている君のピンクの亀頭が、透明の液に塗れ光っている。
それは単なる歪な肉塊だ。
存在する価値もなければ意味もなく、途轍もなく醜い。
女王様が、鋭く尖った赤い爪の先端で、君の性器の裏筋を辿っていく。
その快感に君は体を震わせ、そしてペニスをヒクヒクと痙攣させる。
それに合わせて、さらにペニスから大量の液体が滲み出し、糸を引いて垂れていく。
「イヤらしい……」
女王様が指先による刺激を与え続けながら、君の耳元に唇を寄せて囁く。
そしてその液体を指先で掬い、君の顔の前に差し出す。
「ほら」
そういって、その指を君の口に押し込む。
君は歓喜し、狂ったようにその指を丹念に舐め、しゃぶる。
その舌の動きは、まるで別の生き物のようだ。
君の舌は女王様の指先に絡みつき、吸いついて離れない。
そんな君を、女王様は侮蔑の色を浮かべた表情で静かに眺めている。
やがて女王様は「はい、おしまい」といって、唐突に指を引き抜き、いったん君の傍から離れた。
そして後方に回り込んだため、吊られている君の視界から外れ、君は床から一メートルほどの上空で浮遊したまま、束の間の孤独に陥る。
音のない部屋の時間の進行は歪んでいる。
次に女王様が戻ってきた時、その手には剃刀が握られている。
白い刃先が部屋の明かりを受けて鈍い煌めきを放つ。
「おまえはわたしのモノ」
女王様はそういいながら、その刃先を、君の臍の下辺り、毛のない下腹部に押し当てた。
「印をつけておくわね」
女王様は楽しそうに残忍な光を瞳に宿しながら、君の下腹部に剃刀の刃を滑らせていく。
小さな痛みが君を包み込む。
白い肌に、赤くラインが刻まれていく。
君は息を殺してじっとその刃の動きを注視している。
やがてその赤いラインは『M』という字として結実した。
繊細な傷口から微かな血が密やかに流れている。
その赤は、性器の先端から溢れ出ている透明な液と混じりながら、キラキラ光っている。
つい先ほど、女王様によって剃毛されたばかりだからだ。
まだ剃り跡が青々としている。
大人の股間に陰毛がない光景は、非常に卑猥だ。
これで君は当分、人前で裸にはなれない。
しかも、その股間の性器は今、破廉恥にも限界までそそり立っている。
普段は皮に包まれている君のピンクの亀頭が、透明の液に塗れ光っている。
それは単なる歪な肉塊だ。
存在する価値もなければ意味もなく、途轍もなく醜い。
女王様が、鋭く尖った赤い爪の先端で、君の性器の裏筋を辿っていく。
その快感に君は体を震わせ、そしてペニスをヒクヒクと痙攣させる。
それに合わせて、さらにペニスから大量の液体が滲み出し、糸を引いて垂れていく。
「イヤらしい……」
女王様が指先による刺激を与え続けながら、君の耳元に唇を寄せて囁く。
そしてその液体を指先で掬い、君の顔の前に差し出す。
「ほら」
そういって、その指を君の口に押し込む。
君は歓喜し、狂ったようにその指を丹念に舐め、しゃぶる。
その舌の動きは、まるで別の生き物のようだ。
君の舌は女王様の指先に絡みつき、吸いついて離れない。
そんな君を、女王様は侮蔑の色を浮かべた表情で静かに眺めている。
やがて女王様は「はい、おしまい」といって、唐突に指を引き抜き、いったん君の傍から離れた。
そして後方に回り込んだため、吊られている君の視界から外れ、君は床から一メートルほどの上空で浮遊したまま、束の間の孤独に陥る。
音のない部屋の時間の進行は歪んでいる。
次に女王様が戻ってきた時、その手には剃刀が握られている。
白い刃先が部屋の明かりを受けて鈍い煌めきを放つ。
「おまえはわたしのモノ」
女王様はそういいながら、その刃先を、君の臍の下辺り、毛のない下腹部に押し当てた。
「印をつけておくわね」
女王様は楽しそうに残忍な光を瞳に宿しながら、君の下腹部に剃刀の刃を滑らせていく。
小さな痛みが君を包み込む。
白い肌に、赤くラインが刻まれていく。
君は息を殺してじっとその刃の動きを注視している。
やがてその赤いラインは『M』という字として結実した。
繊細な傷口から微かな血が密やかに流れている。
その赤は、性器の先端から溢れ出ている透明な液と混じりながら、キラキラ光っている。
2004-10-13
蝶
君は今、手首を縛られた状態で両手を上げ、赤いロープで天井から吊るされている。
床に足はついているが、体の自由はほとんど利かない。
もちろん全身に亀甲縛りが施されており、その模様は芸術的ですらある。
君は、オブジェだ。
天井のスポットライトが君を照らしている。
その光に、乳首のピアスが鈍い煌めきを放つ。
ピアスはリング状で、細いチェーンがついている。
そのチェーンは長く、両の乳首から伸びるそれは途中で繋がり、先端は女王様の手の中にある。
女王様が残忍な微笑を瞳に滲ませながら、一片の躊躇もなく、そのチェーンを引っ張った。
「ギャー」
君は大の大人であるにもかかわらず、生まれたての赤子のように叫ぶ。
その目は涙で潤んでいる。
「おまえ、嬉しくて泣いてるの?」
女王様が近づいてきて、感情を消した顔で小首を傾げながら訊く。
君は痛みに顔を顰めながら、しかし「はい」と頷く。
「でも何か不快そうね。あまり嬉しそうには見えないわよ」
女王様はそう言うと、冷徹な目で君を見据えた。
君は激しく首を横に振って否定する。
「いいえ、滅相もございません。本当に嬉しいです!」
君は必死だ。
しかし女王様の手にはいつしか、チェーンの代わりに長い一本鞭が握られている。
「おまえは最低なマゾ豚」
女王様はそう呟くと、鞭を持ったまま君のすぐ前に立ち、君の乳首のピアスを指先で弾いた後、両頬に鋭いビンタを張り、君を小突いた。
君は足首を縛られているので、そのまま、まるでサンドバッグのように揺れる。
その揺れが収まらないうちに、女王様は鞭を振った。
鞭の先端が君の体を打つ。
その乾いた音が、密室に反響する。
君は無意識のうちにその鞭から逃れようと体を捩るが、その度にロープが手首に食い込んで顔を歪める。
何発もの鞭が連続して君に叩き込まれた。
鞭が肌を打つと、君の体に滲んでいた汗が、細かな飛沫となって飛散した。
その汗が、スポットライトの強烈な光を浴びてキラキラと輝く。
やがてようやく鞭の嵐が去った。
君は手首の拘束だけを解かれ、息を弾ませながら床にしゃがみこむ。
亀甲縛りが施されたままの全身には、鞭の跡が刻まれている。
君は這い蹲るように床に両手をつき、呼吸を整える。
そんな君の前に、女王様が凛然と立った。
俯き加減の君の視界に、踵の高いハイヒールが現れる。
レザーの光沢は艶かしく、女王様の足首は透き通るように白い。
その踝の上に、小さいが色鮮やかな蝶のタトゥがある。
蝶は静かに、そして優雅に羽を広げている。
床に足はついているが、体の自由はほとんど利かない。
もちろん全身に亀甲縛りが施されており、その模様は芸術的ですらある。
君は、オブジェだ。
天井のスポットライトが君を照らしている。
その光に、乳首のピアスが鈍い煌めきを放つ。
ピアスはリング状で、細いチェーンがついている。
そのチェーンは長く、両の乳首から伸びるそれは途中で繋がり、先端は女王様の手の中にある。
女王様が残忍な微笑を瞳に滲ませながら、一片の躊躇もなく、そのチェーンを引っ張った。
「ギャー」
君は大の大人であるにもかかわらず、生まれたての赤子のように叫ぶ。
その目は涙で潤んでいる。
「おまえ、嬉しくて泣いてるの?」
女王様が近づいてきて、感情を消した顔で小首を傾げながら訊く。
君は痛みに顔を顰めながら、しかし「はい」と頷く。
「でも何か不快そうね。あまり嬉しそうには見えないわよ」
女王様はそう言うと、冷徹な目で君を見据えた。
君は激しく首を横に振って否定する。
「いいえ、滅相もございません。本当に嬉しいです!」
君は必死だ。
しかし女王様の手にはいつしか、チェーンの代わりに長い一本鞭が握られている。
「おまえは最低なマゾ豚」
女王様はそう呟くと、鞭を持ったまま君のすぐ前に立ち、君の乳首のピアスを指先で弾いた後、両頬に鋭いビンタを張り、君を小突いた。
君は足首を縛られているので、そのまま、まるでサンドバッグのように揺れる。
その揺れが収まらないうちに、女王様は鞭を振った。
鞭の先端が君の体を打つ。
その乾いた音が、密室に反響する。
君は無意識のうちにその鞭から逃れようと体を捩るが、その度にロープが手首に食い込んで顔を歪める。
何発もの鞭が連続して君に叩き込まれた。
鞭が肌を打つと、君の体に滲んでいた汗が、細かな飛沫となって飛散した。
その汗が、スポットライトの強烈な光を浴びてキラキラと輝く。
やがてようやく鞭の嵐が去った。
君は手首の拘束だけを解かれ、息を弾ませながら床にしゃがみこむ。
亀甲縛りが施されたままの全身には、鞭の跡が刻まれている。
君は這い蹲るように床に両手をつき、呼吸を整える。
そんな君の前に、女王様が凛然と立った。
俯き加減の君の視界に、踵の高いハイヒールが現れる。
レザーの光沢は艶かしく、女王様の足首は透き通るように白い。
その踝の上に、小さいが色鮮やかな蝶のタトゥがある。
蝶は静かに、そして優雅に羽を広げている。
2004-10-02
もしくは幻影
滑車が回る
重々しい音を響かせて
鎖を手繰る彼女の爪は黒
軋むロープ
ゆっくりと浮上する、からだ
閉ざされた部屋
誰も知らない時間
拘束された肉体
解放された精神
儀式のあとで
自由を獲得する
夕陽に向かって叫んだあの日の少年は
今夜、すりかえられた夢を見る
もしくは、幻影
重々しい音を響かせて
鎖を手繰る彼女の爪は黒
軋むロープ
ゆっくりと浮上する、からだ
閉ざされた部屋
誰も知らない時間
拘束された肉体
解放された精神
儀式のあとで
自由を獲得する
夕陽に向かって叫んだあの日の少年は
今夜、すりかえられた夢を見る
もしくは、幻影
2004-09-29
これも、恋
嘘をつくなら最後まで
キャベツ畑の意外性
万年筆のインクの沁み
デカダンスは謎
メモは破っておく
13階段の先にあるヘヴン
本日の営業は終了しました
爪先から滴る血の色に似た何か
サバンナで調教
通学路はもうない
残酷な波紋
キリストの偽者
倒錯は幻の遊戯
夜が人を呑む
土牢で深呼吸
沸騰するホットミルク
愛を語るなら最初から
キャベツ畑の意外性
万年筆のインクの沁み
デカダンスは謎
メモは破っておく
13階段の先にあるヘヴン
本日の営業は終了しました
爪先から滴る血の色に似た何か
サバンナで調教
通学路はもうない
残酷な波紋
キリストの偽者
倒錯は幻の遊戯
夜が人を呑む
土牢で深呼吸
沸騰するホットミルク
愛を語るなら最初から
2004-09-14
アンダーグラウンド
君は全裸だ。
両手は後ろに回されてきつくロープで縛られ、同じく足首も拘束されている。
そして、床に転がされている。
体の自由は全く利かない。
床で体を丸めている君の視界は傾いている。
この地下室に監禁されてから、ずいぶん時間が経過している。
しかし窓もなく、もちろん時計もないので、正確な時間はわからない。
でも、たぶん夜だ。
君は、暗くなってからこの地下室に入った。
君の狭い視野を、黒革のロングブーツが横切る。
この部屋には君の他に、ふたりの女王様がいる。
ふたりともとても美しく、そして厳しい。
彼女達の手には、それぞれ長い鞭が握られている。
その鞭がしなって、君の体を打つ。
ピシッと乾いた音が、コンクリート剥き出しの壁に囲まれた狭い地下室に響き渡る。
君は叫び声を上げて反射的にその鞭から逃れようとするが、それは叶わない。
君の体はすでに真っ赤だ。
無数の鞭の跡が全身に走っている。
ひどい蚯蚓腫れからは、血も流れている。
女王様のブーツの底が、君の頬を踏む。
君は不様に顔を踏み潰されながら、冷たいフローリングの床に押し付けられて、醜く顔を歪ませる。
もうひとりの女王様が、君の性器を蹴り上げる。
君は呻いて、反射的に体を弾ませる。
「ひどい格好だね、おまえ」
女王様が、君の顔を踏んだまま、頭上から笑い声を降り注ぎながらいう。
君は鞭の跡に沁みる鋭い痛みと、性器に残る鈍痛に身悶えながら頷く。
「おまえ、これだけ苛めてもらっておいて、感謝の言葉もなしか? えっ?」
もうひとりの女王様が君の尻を力いっぱい蹴りながらいう。
君は体を丸めたまま、息を弾ませながら呟く。
「ありがとうございます。ボクはとても幸せです」
「そうそう、それでいいんだよ、変態マゾ野郎。じゃあ、ご褒美でもあげましょうかねえ」
そういって君の顔から足を下ろした女王様は、ゆっくりとブーツを脱いだ。
ブーツの中は素足だ。
その白い爪先が君の顔の上に置かれる。
暖かい芳香が強く漂う。
女王様の可憐な足の指が、ゆっくりと君の顔の上を蠢く。
頬を踏み、鼻を摘み、唇を器用に挟む。
そしてやがてそれは、おもむろに君の口の中に押し込まれる。
「ほら、舐めろよ」
「ありがとうございます!」
君は歓喜し、狂ったようにその足の指をしゃぶる。
かなり不自由な体勢だが、たちまち性器がいきり立っていく。
それを、もうひとりの女王様が踏む。
「アン」
君はたまらず喘ぐ。
しかしその瞬間、君は不覚にも、女王様の足の指に歯を立ててしまった。
「痛いっ」
女王様が舌打ちして吐き捨て、足を引き抜く。
「申し訳ございません」
君は慌てて謝罪したが、とき既に遅しだ。
女王様の怒りは瞬時に沸騰し、簡単には収まらない。
再び激しい鞭の洗礼が始まった。
君は右へ左へ体を捩りながら小刻みに跳ね続ける。
その目には涙が滲んでいる。
鞭が空気を裂き肌を打つ音、君の絶叫、女王様の笑い声。
地下室の夜には、終わりがない。
両手は後ろに回されてきつくロープで縛られ、同じく足首も拘束されている。
そして、床に転がされている。
体の自由は全く利かない。
床で体を丸めている君の視界は傾いている。
この地下室に監禁されてから、ずいぶん時間が経過している。
しかし窓もなく、もちろん時計もないので、正確な時間はわからない。
でも、たぶん夜だ。
君は、暗くなってからこの地下室に入った。
君の狭い視野を、黒革のロングブーツが横切る。
この部屋には君の他に、ふたりの女王様がいる。
ふたりともとても美しく、そして厳しい。
彼女達の手には、それぞれ長い鞭が握られている。
その鞭がしなって、君の体を打つ。
ピシッと乾いた音が、コンクリート剥き出しの壁に囲まれた狭い地下室に響き渡る。
君は叫び声を上げて反射的にその鞭から逃れようとするが、それは叶わない。
君の体はすでに真っ赤だ。
無数の鞭の跡が全身に走っている。
ひどい蚯蚓腫れからは、血も流れている。
女王様のブーツの底が、君の頬を踏む。
君は不様に顔を踏み潰されながら、冷たいフローリングの床に押し付けられて、醜く顔を歪ませる。
もうひとりの女王様が、君の性器を蹴り上げる。
君は呻いて、反射的に体を弾ませる。
「ひどい格好だね、おまえ」
女王様が、君の顔を踏んだまま、頭上から笑い声を降り注ぎながらいう。
君は鞭の跡に沁みる鋭い痛みと、性器に残る鈍痛に身悶えながら頷く。
「おまえ、これだけ苛めてもらっておいて、感謝の言葉もなしか? えっ?」
もうひとりの女王様が君の尻を力いっぱい蹴りながらいう。
君は体を丸めたまま、息を弾ませながら呟く。
「ありがとうございます。ボクはとても幸せです」
「そうそう、それでいいんだよ、変態マゾ野郎。じゃあ、ご褒美でもあげましょうかねえ」
そういって君の顔から足を下ろした女王様は、ゆっくりとブーツを脱いだ。
ブーツの中は素足だ。
その白い爪先が君の顔の上に置かれる。
暖かい芳香が強く漂う。
女王様の可憐な足の指が、ゆっくりと君の顔の上を蠢く。
頬を踏み、鼻を摘み、唇を器用に挟む。
そしてやがてそれは、おもむろに君の口の中に押し込まれる。
「ほら、舐めろよ」
「ありがとうございます!」
君は歓喜し、狂ったようにその足の指をしゃぶる。
かなり不自由な体勢だが、たちまち性器がいきり立っていく。
それを、もうひとりの女王様が踏む。
「アン」
君はたまらず喘ぐ。
しかしその瞬間、君は不覚にも、女王様の足の指に歯を立ててしまった。
「痛いっ」
女王様が舌打ちして吐き捨て、足を引き抜く。
「申し訳ございません」
君は慌てて謝罪したが、とき既に遅しだ。
女王様の怒りは瞬時に沸騰し、簡単には収まらない。
再び激しい鞭の洗礼が始まった。
君は右へ左へ体を捩りながら小刻みに跳ね続ける。
その目には涙が滲んでいる。
鞭が空気を裂き肌を打つ音、君の絶叫、女王様の笑い声。
地下室の夜には、終わりがない。
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