寒い部屋だ。
空気が冷え冷えとしていて、全裸の君の肌を針のように刺している。
君は今、コンクリートの壁に打ち据えられた頑丈な十字の黒い木製の磔台に拘束されている。
両腕は水平に持ち上げられて、磔台の先端に短い鎖で取り付けられた革製のベルトによって手首を繋がれ、足は閉じた状態で揃えて両手と同じようにがっちりと固定されている。
革のベルトに繋がる鎖が非常に短いため、君はほとんど身動きが取れない。
しかも部屋が異常に寒いので、裸足の足の裏から硬いフローリングの床の冷気が直に伝わり、背筋を這い登ってくる。
君はガチガチと歯を鳴らしながら、全身に鳥肌を立てている。
縛られている君の体は、なぜかつるりとしている。
それは、全身の毛を剃っているためだ。
股間だけではない。腕も脚も髪も髭も全て剃毛している。
そんな君の体は白い。
もう何ヶ月も窓ひとつないこの部屋に監禁されているため、太陽を全く浴びていない。
天井に灯る青白い蛍光灯の光が、そんな君をまるで蝋人形のように映している。
やがて、壁にひとつだけある重い木製の扉が開いて、ひとりの女性が入ってくる。
長い黒革のブーツ。
その尖った踵がコツコツと硬質な音を響かせながら、少しずつ君に近づいてくる。
背の高い女性だ。
全体的な印象としては細身だが、圧倒的な存在感を誇示している。
長い髪が歩を進めるたびに緩やかに波打って、それに合わせてこの部屋の沈滞していた空気が揺らめく。
そして、微かに香水の香りが君の鼻腔の奥に届く。
女性は、全身を黒い革のボンデージに包んでいる。
鋭く切れ込んだビキニタイプのショーツから伸びる脚のシルエットが美しい。
それはブーツの雰囲気と見事に調和している。
上半身は、コルセットのような形状をしたボンデージだ。
完璧にくびれた腰のラインが強調されている。
その女性の手には、小さな箱がある。
表面に凝ったレリーフが施された木の小箱だ。
一見、それはオルコールのようだが、そうではない。
女性は君の前まで進んで、45センチの距離に立つと、悠然と君を見下ろし、その小箱を開く。
中には、細い針が何本も入っている。
女性はその針を一本、優雅な仕草で摘み上げると、君の目の前に示した。
君の視界が、艶やかに光る銀色の一筋に支配される。
女性は次の瞬間、毒々しい色をした舌を出して、その針の先端を舐めた。
そして、じっと君の瞳を覗き込んだまま針の先端を君の乳首にあてがう。
その感触に、君の体が一瞬ビクンと跳ねる。
全身の感覚が、乳首に触れているその尖った針の先端に集中する。
「動いては駄目よ」
女性はそう言うと、手に持っていた箱を君の肩に置いた。
箱は微妙なバランスを保ったまま、君の肩の筋肉の上で静止した。
緊張で君の体は硬直している。
そして、女性はゆっくりと細い針を君の乳首に刺し入れていく。
鋭い痛みが君の神経を突き抜けていく。
君は動かないように全身を強張らせながら歯を食い縛り、その痛みを受け入れる。
針の先が埋められた乳首の一点から、まるで君の精神が涙を滴らせるように、細く赤い血が流れる。
2006-01-11
2005-12-22
Ride On
濃密な部屋の空気がほんの少し揺らぐ。
君は両手を揃えて体の横にぴたりと付け、直立不動だ。
そんな君に、女王様がロープを巻きつけていく。
彼女が体の位置を変える度に、香水と微かな甘い髪の香りが君を挑発する。
そして、ときどき柔らかい肌が君の体に触れる。
全裸の君は、既に屹立した性器を晒している。
君は両手を後ろに回すよう命じられ、そのまま縛り上げられた。
しかし拘束は上半身だけだ。
ロープが肉に食い込みながら君の上半身に模様を描いている。
女王様は君を縛り終えると、いったん四つん這いになるように命じた。
四つん這いといっても、両手が使えないので、君はまず腹這いになり、それから膝を立てて尻を持ち上げた。
その尻に、ひんやりとした感触が伝わる。
女王様が大量のローションを垂らしたのだ。
そして、手術用の薄い手袋を嵌めた女王様の人差し指が君の尻の穴を刺激し、やがてゆっくりと挿入された。
君は思わず吐息を洩らし、腰を蠢かせてしまう。
そのふしだらな尻を、女王様がもう一方の手でピシリと打つ。
じきに、指は更に追加されていき、三本が入ったところで、女王様は執拗に君の尻の穴を広げた。
ローションとビニールの手袋が君の尻の穴の中で擦れあって、卑猥な音を立てている。
君は頬を冷たい床に押し付けながら、その快感に身悶えている。
やがて女王様は指を引き抜き、君に立つよう命じた。
君はよろよろと立ち上がり、女王様と向き合う。
その彼女の下半身には、男性の性器を模したペニスバンドが装着されている。
と、君はいきなりビンタを打たれた。
「壁に手を付いて、尻をこちらに向けなさい」
君は壁を向き、足を少し開き気味にして体を前傾させて壁に両手をついた。
コンクリートのザラザラした感触が手のひらに伝わる。
そして、尻の穴に異物が挿入された。
君は思わず上半身を仰け反らせて呻いてしまう。
女王様が擬似ペニスを深く君の尻の穴に沈め、ゆっくりと腰を突き出す。
それと同時に両手を君の体の前に回して乳首を摘み、抓る。
女王様の腰の動きに合わせて君も体を前後させる。
リズムが同調していくにつれ、君の息も荒くなる。
しばらくそれが続いた後、女王様は君を貫いたまま、君の体を壁から離して、すぐ背後にあるソファに腰を下ろした。
そして君に「そのまま、こっちを向きなさい」と命じる。
君は、挿入された擬似ペニスを軸にするようにして、女王様の上でぎごちなく体を回転させた。
女王様が君の腰に両手を回し、支える。
卑猥に勃起した性器が女王様の腹の上に置かれる。
その体勢のまま、女王様は腰を突き上げた。
両手を背後で拘束されている君はバランスを崩しそうになるが、女王様が腰を支えているため、転げ落ちるようなことはない。
しかし、女王様が体を動かす度に亀頭が彼女の腹で擦れて、君は身悶えてしまう。
女王様はそんな君を嘲笑い、そして睨みながら、腰を動かす。
君は彼女に支えられながら体を弾ませ、息を弾ませ、その快感に身を委ねる。
君は両手を揃えて体の横にぴたりと付け、直立不動だ。
そんな君に、女王様がロープを巻きつけていく。
彼女が体の位置を変える度に、香水と微かな甘い髪の香りが君を挑発する。
そして、ときどき柔らかい肌が君の体に触れる。
全裸の君は、既に屹立した性器を晒している。
君は両手を後ろに回すよう命じられ、そのまま縛り上げられた。
しかし拘束は上半身だけだ。
ロープが肉に食い込みながら君の上半身に模様を描いている。
女王様は君を縛り終えると、いったん四つん這いになるように命じた。
四つん這いといっても、両手が使えないので、君はまず腹這いになり、それから膝を立てて尻を持ち上げた。
その尻に、ひんやりとした感触が伝わる。
女王様が大量のローションを垂らしたのだ。
そして、手術用の薄い手袋を嵌めた女王様の人差し指が君の尻の穴を刺激し、やがてゆっくりと挿入された。
君は思わず吐息を洩らし、腰を蠢かせてしまう。
そのふしだらな尻を、女王様がもう一方の手でピシリと打つ。
じきに、指は更に追加されていき、三本が入ったところで、女王様は執拗に君の尻の穴を広げた。
ローションとビニールの手袋が君の尻の穴の中で擦れあって、卑猥な音を立てている。
君は頬を冷たい床に押し付けながら、その快感に身悶えている。
やがて女王様は指を引き抜き、君に立つよう命じた。
君はよろよろと立ち上がり、女王様と向き合う。
その彼女の下半身には、男性の性器を模したペニスバンドが装着されている。
と、君はいきなりビンタを打たれた。
「壁に手を付いて、尻をこちらに向けなさい」
君は壁を向き、足を少し開き気味にして体を前傾させて壁に両手をついた。
コンクリートのザラザラした感触が手のひらに伝わる。
そして、尻の穴に異物が挿入された。
君は思わず上半身を仰け反らせて呻いてしまう。
女王様が擬似ペニスを深く君の尻の穴に沈め、ゆっくりと腰を突き出す。
それと同時に両手を君の体の前に回して乳首を摘み、抓る。
女王様の腰の動きに合わせて君も体を前後させる。
リズムが同調していくにつれ、君の息も荒くなる。
しばらくそれが続いた後、女王様は君を貫いたまま、君の体を壁から離して、すぐ背後にあるソファに腰を下ろした。
そして君に「そのまま、こっちを向きなさい」と命じる。
君は、挿入された擬似ペニスを軸にするようにして、女王様の上でぎごちなく体を回転させた。
女王様が君の腰に両手を回し、支える。
卑猥に勃起した性器が女王様の腹の上に置かれる。
その体勢のまま、女王様は腰を突き上げた。
両手を背後で拘束されている君はバランスを崩しそうになるが、女王様が腰を支えているため、転げ落ちるようなことはない。
しかし、女王様が体を動かす度に亀頭が彼女の腹で擦れて、君は身悶えてしまう。
女王様はそんな君を嘲笑い、そして睨みながら、腰を動かす。
君は彼女に支えられながら体を弾ませ、息を弾ませ、その快感に身を委ねる。
2005-11-19
月の囁き
高い位置にはめ込まれた鉄格子の小さな窓から、青い月光が千切れながらコンクリートの冷たい床に落ちている。
君は全裸で、煉瓦の壁に凭れて座りながら、もうずっと膝を抱えている。
その両足首にはそれぞれ革製の足枷が巻かれ、それに繋がる短い鎖の先には重い鉄球が取り付けられている。
部屋は狭く、暗い。
二畳ほどのスペースで、天井に明かりはない。
部屋の隅に様式の便器がひとつだけある。
廊下に面した壁にだけ鉄製の扉があり、上部に覗き窓が付いている。
現在の時刻はわからないが、夜だということは窓から洩れ入る月光で認識できる。
君は、慢性的に寝不足だ。
この収容所では、囚人に自由はない。
囚人には、たとえ深夜であろうと、女性看守の慰み物としての勤めがある。
女性看守は、毎晩酔っ払って独房を訪れては、様々な道具を使って君を犯し、折檻する。
そのため君は、常に満身創痍だ。
体には無数の鞭の跡が刻まれ、尻の穴は裂けてしまっている。
そして今日の君はニ日前から一切、水も食料も与えられていないから、ひどい空腹と喉の渇きを覚えている。
この二日間、君は完全に放置されている。
誰とも喋っていないし、誰にも会っていない。
君は膝を抱えて、狭い部屋の隅で小さくなりながら、じっと闇を凝視している。
他の房から、囚人達の悲鳴が闇を裂いて響き渡っている。
どこでどんなことが行われているのか……。
わざわざ想像しなくても、君にはわかる。
なぜならば、同じことをきみはいつも経験しているからだ。
やがて廊下に固い靴音が響く。
女性看守のブーツの踵が刻む靴音だ。
だんだんその音が近づいてきて、君の房の前で止まった。
君は緊張し、ごくりと生唾を飲み込む。
次の瞬間、ドアのロックが外され、ギギギーと重々しい音を立てながらゆっくりと扉が開く。
廊下から洩れる明かりが眩しくて、目を細めながら君はドアの方向を見る。
そこには、女性看守が立っていた。
おそろしく体格の良い、長身の看守だ。
手に、餌らしいトレイを持っている。
君は慌てて立ち上がると、重い鉄球を引き摺りながらその女性看守の前へ進み、跪く。
女性看守は無言のまましばらくそんな君を見下ろした後、しゃがみ、床にトレイを置く。
そのトレイにはボウルがひとつだけ載っていて、その中には、明らかに残飯とわかる様々な食材が放り込まれている。
野菜や肉の切れ端、パサパサに乾いたご飯、何かの汁。
よく見ると、梅干の種やバナナの皮まで入っている。
女性看守は立ち上がり、そのトレイをブーツの爪先で君の前へ蹴りやる。
しかし、まだ手をつけることはできない。
女性看守が、残忍な笑みを浮かべて言う。
「餌よ。お腹が空いているでしょう? でも、これではあまりに味気ないわね。もっと美味しくしてあげるわ」
そう言うと、女性看守は続けざまに、そのボウルの中に唾を吐いた。
そして、短いスカートをたくし上げて乱暴に下着を下ろすと、そのボウルを跨いで勢いよく放尿する。
房内に強いアンモニア臭が立ち込め、残飯のボウルから湯気が昇る。
君は、そのボウルの中身を凝視する。
濁った湯の中に浮かぶ残飯……。
そこへ、股間を拭ったティッシュが舞い降りてくる。
さらに女性看守は、下着を穿き直すと、君の目の前でブーツの足をそのボウルの中に突っ込み、爪先で乱暴にその残飯をくぢゃぐちゃに踏み潰していく。
君は縛られたように硬直しながらその様子を見つめている。
最後に女性看守は、片脚を持ち上げてブーツを君の頭に置くと、ポケットからティッシュを取り出し、ブーツの表面を適当に拭いて、それもボウルの中に捨てる。
そして君の頭から脚を下ろす。
銀色のボウルの縁で、青い月光が撥ねる。
「わたしがここから出たら、この餌を食べてもいいわよ」
冷笑を唇の端に滲ませながら女性看守はそう言うと、踵を返し、君の房を出た。
重い扉が閉じられた瞬間、もう人間としての尊厳など微塵も残されていない君はボウルに屈みこみ、両手でその残飯を掴むと、再び施錠されたロックの音と透き通るような青い月光の中、むさぼるように食べ始める。
君は全裸で、煉瓦の壁に凭れて座りながら、もうずっと膝を抱えている。
その両足首にはそれぞれ革製の足枷が巻かれ、それに繋がる短い鎖の先には重い鉄球が取り付けられている。
部屋は狭く、暗い。
二畳ほどのスペースで、天井に明かりはない。
部屋の隅に様式の便器がひとつだけある。
廊下に面した壁にだけ鉄製の扉があり、上部に覗き窓が付いている。
現在の時刻はわからないが、夜だということは窓から洩れ入る月光で認識できる。
君は、慢性的に寝不足だ。
この収容所では、囚人に自由はない。
囚人には、たとえ深夜であろうと、女性看守の慰み物としての勤めがある。
女性看守は、毎晩酔っ払って独房を訪れては、様々な道具を使って君を犯し、折檻する。
そのため君は、常に満身創痍だ。
体には無数の鞭の跡が刻まれ、尻の穴は裂けてしまっている。
そして今日の君はニ日前から一切、水も食料も与えられていないから、ひどい空腹と喉の渇きを覚えている。
この二日間、君は完全に放置されている。
誰とも喋っていないし、誰にも会っていない。
君は膝を抱えて、狭い部屋の隅で小さくなりながら、じっと闇を凝視している。
他の房から、囚人達の悲鳴が闇を裂いて響き渡っている。
どこでどんなことが行われているのか……。
わざわざ想像しなくても、君にはわかる。
なぜならば、同じことをきみはいつも経験しているからだ。
やがて廊下に固い靴音が響く。
女性看守のブーツの踵が刻む靴音だ。
だんだんその音が近づいてきて、君の房の前で止まった。
君は緊張し、ごくりと生唾を飲み込む。
次の瞬間、ドアのロックが外され、ギギギーと重々しい音を立てながらゆっくりと扉が開く。
廊下から洩れる明かりが眩しくて、目を細めながら君はドアの方向を見る。
そこには、女性看守が立っていた。
おそろしく体格の良い、長身の看守だ。
手に、餌らしいトレイを持っている。
君は慌てて立ち上がると、重い鉄球を引き摺りながらその女性看守の前へ進み、跪く。
女性看守は無言のまましばらくそんな君を見下ろした後、しゃがみ、床にトレイを置く。
そのトレイにはボウルがひとつだけ載っていて、その中には、明らかに残飯とわかる様々な食材が放り込まれている。
野菜や肉の切れ端、パサパサに乾いたご飯、何かの汁。
よく見ると、梅干の種やバナナの皮まで入っている。
女性看守は立ち上がり、そのトレイをブーツの爪先で君の前へ蹴りやる。
しかし、まだ手をつけることはできない。
女性看守が、残忍な笑みを浮かべて言う。
「餌よ。お腹が空いているでしょう? でも、これではあまりに味気ないわね。もっと美味しくしてあげるわ」
そう言うと、女性看守は続けざまに、そのボウルの中に唾を吐いた。
そして、短いスカートをたくし上げて乱暴に下着を下ろすと、そのボウルを跨いで勢いよく放尿する。
房内に強いアンモニア臭が立ち込め、残飯のボウルから湯気が昇る。
君は、そのボウルの中身を凝視する。
濁った湯の中に浮かぶ残飯……。
そこへ、股間を拭ったティッシュが舞い降りてくる。
さらに女性看守は、下着を穿き直すと、君の目の前でブーツの足をそのボウルの中に突っ込み、爪先で乱暴にその残飯をくぢゃぐちゃに踏み潰していく。
君は縛られたように硬直しながらその様子を見つめている。
最後に女性看守は、片脚を持ち上げてブーツを君の頭に置くと、ポケットからティッシュを取り出し、ブーツの表面を適当に拭いて、それもボウルの中に捨てる。
そして君の頭から脚を下ろす。
銀色のボウルの縁で、青い月光が撥ねる。
「わたしがここから出たら、この餌を食べてもいいわよ」
冷笑を唇の端に滲ませながら女性看守はそう言うと、踵を返し、君の房を出た。
重い扉が閉じられた瞬間、もう人間としての尊厳など微塵も残されていない君はボウルに屈みこみ、両手でその残飯を掴むと、再び施錠されたロックの音と透き通るような青い月光の中、むさぼるように食べ始める。
2005-11-02
太陽のしずく
砂漠の岸辺
蜃気楼のように浮かぶ街の灯
空が夜に侵されていく
群青色の砂に刻まれたジープの轍
谷へ向かう道
物音は死んだ
甘美な絶望
苦痛の記憶
わたしは誰? と呟く
耳元で暴れる風
気温の急低下
黒い爪の幻想
疼く吐息
前奏曲は不要
囁きで殺して
瞳の奥に差す獰猛な闇
ピンク色の巨大な夕陽が大地の果てへ沈んでいく
その最後のひとしずくの中に希望の欠片を探す
蜃気楼のように浮かぶ街の灯
空が夜に侵されていく
群青色の砂に刻まれたジープの轍
谷へ向かう道
物音は死んだ
甘美な絶望
苦痛の記憶
わたしは誰? と呟く
耳元で暴れる風
気温の急低下
黒い爪の幻想
疼く吐息
前奏曲は不要
囁きで殺して
瞳の奥に差す獰猛な闇
ピンク色の巨大な夕陽が大地の果てへ沈んでいく
その最後のひとしずくの中に希望の欠片を探す
2005-10-15
オークション
君の体を、強烈なスポットライトが照らしている。
視界は、まるで露出過多の印画紙のように白い。
そのピンポイントで注がれる光は君の全てを曝け出させているが、そんな君の首には車のナンバープレートほどの大きさのボール紙製のボードが掛けられていて、そこにはフェルトペンで『No,012』と記されている。
適当に殴り書きしただけの、乱暴な文字だ。
君は今、全裸で背筋を伸ばして立ち、両手を後ろに回して革製の手錠で拘束されている。
首には太い革の首輪が巻かれ、それに繋がった鎖は金属製で重い。
足首にも手首と同じような革のベルトが巻かれ、そして首輪と同じ類の太い鎖が付いている。
その二本の鎖は、壁に取り付けられたフックへと続いている。
君が立っているのは円形のステージのような場所だ。
しかしスポットライトの光量が強すぎるために、周囲は闇で、様子はまるでわからない。
それでも、人の気配は感じられる。
人の気配というより、露骨に好奇心剥き出しの強い視線が、全方位から自分に向けて注がれているのを肌で感じている。
君は周囲に横溢する光の氾濫に目を細めて立っている。
垂直に降り注ぐ光のため、床に落ちる君の影は短く、濃い。
そして隠すことのできないでいる股間にぶら下がる性器は萎え、その周囲には毛がない。
そのうえ君は仮性包茎なので、現在、亀頭はほとんど包皮に被われており、まるで赤ちゃんの股間のようだ。
全裸で強烈な光に晒されているため、君はうっすらと汗をかいている。
しかし裸足の床は模造大理石なので冷たく、君はこの場所に立ったときからずっとその温度差に違和感を覚えている。
君は黒い布で目隠しを施されたうえで、誰かに鎖を引かれてここまできた。
そして目隠しを外され、予め十秒間目を閉じているように命じられていたので、胸のうちできっちり十秒数えた後、君は目を開いた。
だから、自分をここまで連れてきたその人物と直接的な接触があったわけではなかったが、引いてきたのは、たぶん女性だった、と君は思う。
なぜなら、引かれて歩いているとき、常に微かに女性用の香水の香りが漂っていたからだ。
しかし誰によってここまで連れてこられたのか、それを確かめる術は、君にはない。
というより、この後の自分の運命すら、君には全く予想がつかないのだ。
誰かに買われるかもしれない。
誰にも買われないかもしれない。
やがて。
静寂の空間に乾いた木槌の音が、コン、と一度だけ短く響いた。
君が立っている円形ステージも含めて、周辺の空気が俄かに張り詰める。
いよいよオークションの開始だ。
君の運命は、おそらく数分後には確定するだろう。
視界は、まるで露出過多の印画紙のように白い。
そのピンポイントで注がれる光は君の全てを曝け出させているが、そんな君の首には車のナンバープレートほどの大きさのボール紙製のボードが掛けられていて、そこにはフェルトペンで『No,012』と記されている。
適当に殴り書きしただけの、乱暴な文字だ。
君は今、全裸で背筋を伸ばして立ち、両手を後ろに回して革製の手錠で拘束されている。
首には太い革の首輪が巻かれ、それに繋がった鎖は金属製で重い。
足首にも手首と同じような革のベルトが巻かれ、そして首輪と同じ類の太い鎖が付いている。
その二本の鎖は、壁に取り付けられたフックへと続いている。
君が立っているのは円形のステージのような場所だ。
しかしスポットライトの光量が強すぎるために、周囲は闇で、様子はまるでわからない。
それでも、人の気配は感じられる。
人の気配というより、露骨に好奇心剥き出しの強い視線が、全方位から自分に向けて注がれているのを肌で感じている。
君は周囲に横溢する光の氾濫に目を細めて立っている。
垂直に降り注ぐ光のため、床に落ちる君の影は短く、濃い。
そして隠すことのできないでいる股間にぶら下がる性器は萎え、その周囲には毛がない。
そのうえ君は仮性包茎なので、現在、亀頭はほとんど包皮に被われており、まるで赤ちゃんの股間のようだ。
全裸で強烈な光に晒されているため、君はうっすらと汗をかいている。
しかし裸足の床は模造大理石なので冷たく、君はこの場所に立ったときからずっとその温度差に違和感を覚えている。
君は黒い布で目隠しを施されたうえで、誰かに鎖を引かれてここまできた。
そして目隠しを外され、予め十秒間目を閉じているように命じられていたので、胸のうちできっちり十秒数えた後、君は目を開いた。
だから、自分をここまで連れてきたその人物と直接的な接触があったわけではなかったが、引いてきたのは、たぶん女性だった、と君は思う。
なぜなら、引かれて歩いているとき、常に微かに女性用の香水の香りが漂っていたからだ。
しかし誰によってここまで連れてこられたのか、それを確かめる術は、君にはない。
というより、この後の自分の運命すら、君には全く予想がつかないのだ。
誰かに買われるかもしれない。
誰にも買われないかもしれない。
やがて。
静寂の空間に乾いた木槌の音が、コン、と一度だけ短く響いた。
君が立っている円形ステージも含めて、周辺の空気が俄かに張り詰める。
いよいよオークションの開始だ。
君の運命は、おそらく数分後には確定するだろう。
2005-10-01
噴水
夏の終わりの雨
ほんの少しだけ空気が冷える
買ったばかりのシャツ
午後は倦怠
バスが明日を追い越していく
水溜りを蹴って
咲き乱れる色とりどりの傘
群集を縫って歩く
壊れた希望の修復箇所
公園に人は疎ら
尖ったヒールの踵
昨夜遅くに踏んだ何かの感触
柔から硬への変化は微妙
他人行儀な星明りの吐息
記憶はすみれ色
紅茶の香り
濡れて黒ずむ木製のベンチ
雨の中に佇む噴水
上質な絹のような孤独
水が上昇と落下を繰り返す
それはきっと何かに似ている予感
ほんの少しだけ空気が冷える
買ったばかりのシャツ
午後は倦怠
バスが明日を追い越していく
水溜りを蹴って
咲き乱れる色とりどりの傘
群集を縫って歩く
壊れた希望の修復箇所
公園に人は疎ら
尖ったヒールの踵
昨夜遅くに踏んだ何かの感触
柔から硬への変化は微妙
他人行儀な星明りの吐息
記憶はすみれ色
紅茶の香り
濡れて黒ずむ木製のベンチ
雨の中に佇む噴水
上質な絹のような孤独
水が上昇と落下を繰り返す
それはきっと何かに似ている予感
2005-09-10
サイクリング・ロード
君は、穏やかな日曜日の午後、ひとりでよく自転車を走らせる。
とくに理由があるわけではない。
自宅から三キロほどのところに一級河川が流れていて、その土手の上の道が一部サイクリング・ロードとして整備されているから、君はたいてい、そこへ行く。
広い河川敷は公園になっていて、天気の良い小春日和の午後など、川面を渡って吹いてくる風が心地いい。
日曜日の午後の河川敷は、平和だ。
野球のグラウンドからは金属バットがボールを打つカキーンという音が快く響き、老人達はのんびりとゲートボールに興じ、子供達がダンボールの切れ端を使って草の斜面を滑り降りたりしている。
君はサングラスをかけて、ゆっくりと自転車を漕ぎながらそんな風景を見渡しつつ、サイクリング・ロードを走っていく。
君が乗っている赤いマウンテン・バイクはまだ新車同様で、購入して三ヶ月も経っていない。
あらゆる部分が、陽射しを浴びてキラキラと光っている。
君は道端に自転車を止め、バックパックを背中から下ろすと、その中から水のペットボトルを取り出した。
そしてサングラスを外して頭の上へ載せ、立ったまま水を飲む。
顎を上に向けると太陽の光が網膜を焼いた。
ペットボトルの中の水に光が屈折してプリズムを散らせる。
君は半分ほどを一息に飲み干すと、ペットボトルをバックパックに戻した。
そして草むらに腰を下ろして再びサングラスをかけ、サイクリング・ロードの先へ視線を走らせる。
前方の陽炎が立つ先に、やがてクラブ活動と思しき女子学生の集団が現れる。
体操着に身を包んだ彼女達は、掛け声を上げながら、健康的な肉体を弾ませてだんだん近づいてくる。
それを認めた瞬間、君の中に、明るい日曜の午後の雰囲気とは全く似合わない暗くて邪悪な衝動が生まれた。
君は、自制しようとしたが結局誘惑に負け、外に出したシャツの裾の下でそっとジーンズのジッパーを下ろすと、僅かに硬くなりつつあるペニスを引っ張り出してしまう。
数十秒後、彼女達が君の前を通過していった。
君は彼女達の若く健やかな太腿の躍動を眺めながら、シャツの裾の下で強くペニスを握った。
そしてサングラス越しにじっと凝視しながら、その手を忙しなく上下に動かす……。
とくに理由があるわけではない。
自宅から三キロほどのところに一級河川が流れていて、その土手の上の道が一部サイクリング・ロードとして整備されているから、君はたいてい、そこへ行く。
広い河川敷は公園になっていて、天気の良い小春日和の午後など、川面を渡って吹いてくる風が心地いい。
日曜日の午後の河川敷は、平和だ。
野球のグラウンドからは金属バットがボールを打つカキーンという音が快く響き、老人達はのんびりとゲートボールに興じ、子供達がダンボールの切れ端を使って草の斜面を滑り降りたりしている。
君はサングラスをかけて、ゆっくりと自転車を漕ぎながらそんな風景を見渡しつつ、サイクリング・ロードを走っていく。
君が乗っている赤いマウンテン・バイクはまだ新車同様で、購入して三ヶ月も経っていない。
あらゆる部分が、陽射しを浴びてキラキラと光っている。
君は道端に自転車を止め、バックパックを背中から下ろすと、その中から水のペットボトルを取り出した。
そしてサングラスを外して頭の上へ載せ、立ったまま水を飲む。
顎を上に向けると太陽の光が網膜を焼いた。
ペットボトルの中の水に光が屈折してプリズムを散らせる。
君は半分ほどを一息に飲み干すと、ペットボトルをバックパックに戻した。
そして草むらに腰を下ろして再びサングラスをかけ、サイクリング・ロードの先へ視線を走らせる。
前方の陽炎が立つ先に、やがてクラブ活動と思しき女子学生の集団が現れる。
体操着に身を包んだ彼女達は、掛け声を上げながら、健康的な肉体を弾ませてだんだん近づいてくる。
それを認めた瞬間、君の中に、明るい日曜の午後の雰囲気とは全く似合わない暗くて邪悪な衝動が生まれた。
君は、自制しようとしたが結局誘惑に負け、外に出したシャツの裾の下でそっとジーンズのジッパーを下ろすと、僅かに硬くなりつつあるペニスを引っ張り出してしまう。
数十秒後、彼女達が君の前を通過していった。
君は彼女達の若く健やかな太腿の躍動を眺めながら、シャツの裾の下で強くペニスを握った。
そしてサングラス越しにじっと凝視しながら、その手を忙しなく上下に動かす……。
2005-08-26
Sweet Hot Chocolate.
コンロにかけられたソースパンの中で茶褐色の液体がドロドロに溶けて、甘い香りが部屋に充満し始めた。
君は全裸で床に正坐しながら、その香りを嗅いだ。
しかし黒い布で目隠しをされているため、視界は遮られている。
君のすぐ前には、無人の椅子が一脚、ぽつんと置かれている。
ソースパンを温めているのは、背の高い、美しい女性だ。
その女性は紺色のタイトなミニスカートに白いシンプルな長袖のシャツといういでたちで、薄いベージュのストッキングで脚を包み、靴やスリッパは履いていない。
長い髪が肩にかかっていて、女性は時折、何気なくその前髪を指先でかきあげている。
女性はやがて、コンロの火を消すと、ソースパンを流し台へ移し、氷を入れたボウルの上へそれを置いて熱いチョコレートを冷ました。
そして、しかし凝固してしまわないよう、スプーンで静かに攪拌する。
そうしながら、女性は何気なく振り返ってちらりと君を見た。
君は背筋をピンと伸ばし、きちんと正坐している。
その様子に、少し離れた場所から女性は微笑を浮かべるが、もちろん君には見えない。
君は軽く拳を握ってその手を太腿の上に置いたまま、不動だ。
じきにチョコレートは人肌程度にまで冷める。
女性は人差し指で少しチョコレートを掬って舐め、温度の低下を確認すると、ソースパンを持って君の前へ移動する。
誰かが近づいてくる気配を君は感じたが、その正体はわからない。
ただ、チョコレートの匂いが強まったことと、微かな衣擦れの音で気配は感じる。
やがて女性は君の前まで来ると、椅子に座り、いったん床にソースパンを置いてから、静かに脚を組み、音もなくストッキングを脱いだ。
君は体を固くしながら、全身の神経を研ぎ澄ましている。
その緊張した君の様子に、女性は唇を歪ませるようにして静かに小さく笑い、脱ぎ終えたストッキングで君の鼻先を挑発した。
その一陣のそよ風のような感触に、君はビクリとしてしまう。
ほんの一瞬、チョコレートの甘さとは異質の香りが君を掠めた。
女性は、そのストッキングを捨てると、爪先をソースパンの中に浸した。
そして指先や足の裏へ溶けたチョコレート充分に絡ませていく。
やがて充分に絡まると、女性は爪先を持ち上げ、そのまま君の鼻先に突きつけた。
「舐めなさい」
そう命じて、女性はいきなりチョコレートの爪先を君の顔、鼻から口にかけての部分に押し付けた。
君はその感触で、顔に爪先が押し付けられたことを知り、瞬間沸騰して手探りでその足の踵を捉えて支えると、チョコレートに彩られた柔らかく甘いその足に舌を伸ばした。
君は腰を半ば浮かせて昂りながら、温かいチョコレートに塗れた女性の足の親指にむしゃぶりつき、一心不乱に舐め続けている。
女性が、身を屈めてソースパンを拾い上げ、その中身を、脛の辺りから爪先に向けて流す。
注がれるチョコレートが漣のように押し寄せてきて、君は温かく甘いそれに塗れていく。
そして君の唇から溢れたチョコレートは静かに顎を伝い、ゆっくりと体を流れ落ちていく。
君は全裸で床に正坐しながら、その香りを嗅いだ。
しかし黒い布で目隠しをされているため、視界は遮られている。
君のすぐ前には、無人の椅子が一脚、ぽつんと置かれている。
ソースパンを温めているのは、背の高い、美しい女性だ。
その女性は紺色のタイトなミニスカートに白いシンプルな長袖のシャツといういでたちで、薄いベージュのストッキングで脚を包み、靴やスリッパは履いていない。
長い髪が肩にかかっていて、女性は時折、何気なくその前髪を指先でかきあげている。
女性はやがて、コンロの火を消すと、ソースパンを流し台へ移し、氷を入れたボウルの上へそれを置いて熱いチョコレートを冷ました。
そして、しかし凝固してしまわないよう、スプーンで静かに攪拌する。
そうしながら、女性は何気なく振り返ってちらりと君を見た。
君は背筋をピンと伸ばし、きちんと正坐している。
その様子に、少し離れた場所から女性は微笑を浮かべるが、もちろん君には見えない。
君は軽く拳を握ってその手を太腿の上に置いたまま、不動だ。
じきにチョコレートは人肌程度にまで冷める。
女性は人差し指で少しチョコレートを掬って舐め、温度の低下を確認すると、ソースパンを持って君の前へ移動する。
誰かが近づいてくる気配を君は感じたが、その正体はわからない。
ただ、チョコレートの匂いが強まったことと、微かな衣擦れの音で気配は感じる。
やがて女性は君の前まで来ると、椅子に座り、いったん床にソースパンを置いてから、静かに脚を組み、音もなくストッキングを脱いだ。
君は体を固くしながら、全身の神経を研ぎ澄ましている。
その緊張した君の様子に、女性は唇を歪ませるようにして静かに小さく笑い、脱ぎ終えたストッキングで君の鼻先を挑発した。
その一陣のそよ風のような感触に、君はビクリとしてしまう。
ほんの一瞬、チョコレートの甘さとは異質の香りが君を掠めた。
女性は、そのストッキングを捨てると、爪先をソースパンの中に浸した。
そして指先や足の裏へ溶けたチョコレート充分に絡ませていく。
やがて充分に絡まると、女性は爪先を持ち上げ、そのまま君の鼻先に突きつけた。
「舐めなさい」
そう命じて、女性はいきなりチョコレートの爪先を君の顔、鼻から口にかけての部分に押し付けた。
君はその感触で、顔に爪先が押し付けられたことを知り、瞬間沸騰して手探りでその足の踵を捉えて支えると、チョコレートに彩られた柔らかく甘いその足に舌を伸ばした。
君は腰を半ば浮かせて昂りながら、温かいチョコレートに塗れた女性の足の親指にむしゃぶりつき、一心不乱に舐め続けている。
女性が、身を屈めてソースパンを拾い上げ、その中身を、脛の辺りから爪先に向けて流す。
注がれるチョコレートが漣のように押し寄せてきて、君は温かく甘いそれに塗れていく。
そして君の唇から溢れたチョコレートは静かに顎を伝い、ゆっくりと体を流れ落ちていく。
2005-08-22
流星の町
真夜中のカーテン
踏み切りの先のなだらかな坂を下る
濡れる窓辺
禍々しい風
絶望が歪む
口に含んだ氷が溶けていく
遠い雷鳴
足元の乱れた淡い光
濃密な闇を引き裂く一閃
絶叫はラプソディ
無口なグラス
歩いてほんの数分の距離
群青色の快感
指先の戯れは気まぐれ
遮る困惑
短気な背骨
寝台列車のメランコリー
明日を踏みにじる
流星の町
唇の謎
傷跡に沁みる
太陽と月のせめぎ合い
朝と夜の攻防
理性と煩悩の駆け引き
踏み切りの先のなだらかな坂を下る
濡れる窓辺
禍々しい風
絶望が歪む
口に含んだ氷が溶けていく
遠い雷鳴
足元の乱れた淡い光
濃密な闇を引き裂く一閃
絶叫はラプソディ
無口なグラス
歩いてほんの数分の距離
群青色の快感
指先の戯れは気まぐれ
遮る困惑
短気な背骨
寝台列車のメランコリー
明日を踏みにじる
流星の町
唇の謎
傷跡に沁みる
太陽と月のせめぎ合い
朝と夜の攻防
理性と煩悩の駆け引き
2005-08-09
西へ
最終の下り『のぞみ』。
座席はほぼ埋まっている。
君は車両中央付近の、窓際の席に座っている。
外は暗く、強化プラスチックの窓には車内の様子が白く映っている。
満席に近い状態なのに、車内はとても静かだ。
大半の人が、本や雑誌を読んだり、ヘッドホンで音楽を聴いたり、目を閉じて眠ったりしている。
君は上着を脱いで、それを下半身に掛けている。
しかし眠ってはいない。
じっと窓の外の闇を見つめている。
そして隣の座席には、薄いスモークのサングラスをかけた美しい女性が座っている。
その女性が、つと窓のほうへ顔を向けた。
白い反射の中で君と目が合う。
しかし、君はすぐに視線を外してしまう。
女性に見つめられることに、君は慣れていないのだ。
彼女は長い脚を組みかえると、右手を、テーブルに置かれたコーヒーの紙コップへ伸ばした。
そしてそれをゆっくりと一口飲む。
君は、そんな彼女の隣の座席で、体を硬直させている。
彼女の左手は、さっきからずっと、君の腰に掛けた上着の下へ伸びている。
その手は、君のズボンのジッパーを下ろし、中から性器を引っ張り出して握っている。
ただ単に握っているだけではない。
彼女は、周囲に気づかれないよう、君のペニスを握るその手を、小刻みに上下させているのだ。
むろん、君のペニスは、上着に隠された下で既に完璧にいきり立っている。
彼女の手は、その君のペニスを絶妙なリズムで刺激し続けている。
たまらず君は時々腰を浮かしそうになってしまうが、その度に、彼女が長い爪の先を亀頭に食い込ませて堪えさせる。
君は一瞬だけ顔を歪ませるが、すぐに何気ない表情を取り繕う。
そして再び快感が君を包み込む。
君は軽く目を閉じ、その刺激に溺れていく。
『のぞみ』は、強引なスピードで闇を切り裂き、西へ向かっている。
座席はほぼ埋まっている。
君は車両中央付近の、窓際の席に座っている。
外は暗く、強化プラスチックの窓には車内の様子が白く映っている。
満席に近い状態なのに、車内はとても静かだ。
大半の人が、本や雑誌を読んだり、ヘッドホンで音楽を聴いたり、目を閉じて眠ったりしている。
君は上着を脱いで、それを下半身に掛けている。
しかし眠ってはいない。
じっと窓の外の闇を見つめている。
そして隣の座席には、薄いスモークのサングラスをかけた美しい女性が座っている。
その女性が、つと窓のほうへ顔を向けた。
白い反射の中で君と目が合う。
しかし、君はすぐに視線を外してしまう。
女性に見つめられることに、君は慣れていないのだ。
彼女は長い脚を組みかえると、右手を、テーブルに置かれたコーヒーの紙コップへ伸ばした。
そしてそれをゆっくりと一口飲む。
君は、そんな彼女の隣の座席で、体を硬直させている。
彼女の左手は、さっきからずっと、君の腰に掛けた上着の下へ伸びている。
その手は、君のズボンのジッパーを下ろし、中から性器を引っ張り出して握っている。
ただ単に握っているだけではない。
彼女は、周囲に気づかれないよう、君のペニスを握るその手を、小刻みに上下させているのだ。
むろん、君のペニスは、上着に隠された下で既に完璧にいきり立っている。
彼女の手は、その君のペニスを絶妙なリズムで刺激し続けている。
たまらず君は時々腰を浮かしそうになってしまうが、その度に、彼女が長い爪の先を亀頭に食い込ませて堪えさせる。
君は一瞬だけ顔を歪ませるが、すぐに何気ない表情を取り繕う。
そして再び快感が君を包み込む。
君は軽く目を閉じ、その刺激に溺れていく。
『のぞみ』は、強引なスピードで闇を切り裂き、西へ向かっている。
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