2005-10-01

噴水

夏の終わりの雨

ほんの少しだけ空気が冷える

買ったばかりのシャツ

午後は倦怠

バスが明日を追い越していく

水溜りを蹴って

咲き乱れる色とりどりの傘

群集を縫って歩く

壊れた希望の修復箇所

公園に人は疎ら

尖ったヒールの踵

昨夜遅くに踏んだ何かの感触

柔から硬への変化は微妙

他人行儀な星明りの吐息

記憶はすみれ色

紅茶の香り

濡れて黒ずむ木製のベンチ

雨の中に佇む噴水

上質な絹のような孤独

水が上昇と落下を繰り返す

それはきっと何かに似ている予感

No comments: