2005-11-02

太陽のしずく

砂漠の岸辺

蜃気楼のように浮かぶ街の灯

空が夜に侵されていく

群青色の砂に刻まれたジープの轍

谷へ向かう道

物音は死んだ

甘美な絶望

苦痛の記憶

わたしは誰? と呟く

耳元で暴れる風

気温の急低下

黒い爪の幻想

疼く吐息

前奏曲は不要

囁きで殺して

瞳の奥に差す獰猛な闇

ピンク色の巨大な夕陽が大地の果てへ沈んでいく

その最後のひとしずくの中に希望の欠片を探す

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