2006-10-01

Baby Pink

君は一糸纏わぬ生まれたままの姿で床に犬のようにお座りしている。
首には首輪、そしてそれに繋がる鎖は、君の目の前に立つ女性の手へ続いている。

君の手は後ろに回されて手首をがっちりと革製の枷で固定され、さらにその枷に取り付けられた鎖が腰に何重にも巡らされた後、そのまま背後の壁に伸びていて、今それはギリギリまで張っている。
そのため、君は心持ち後ろへ引っ張られるような姿勢で女性の前に跪いており、もう僅か数センチも前へは進めない。
手を伸ばせば簡単に届きそうな位置にある女性の脚にも、当然触れることはできない。

女性は下着姿だ。
君の目の前、15センチほど先の斜め上方に、淡いピンクの下着が迫っている。
それは君にとって、幻のように美しい色彩だ。
女性は一歩前へ踏み出して、その小さな下着を更に君に接近させる。
ほんの少し首を伸ばせばその股間の布に鼻先を埋めることが可能だが、手首に取り付けられた鎖のせいで君はもうこれ以上前へ身を乗り出せないため、その挑発は死の宣告に等しい。
君はペニスを猛々しく勃起させながら膝で立ち、必死に顎を前へ突き出して、さらに首も伸ばすが、絶対にそのピンクの布地に顔を埋めることはできない。

君はその届きそうで届かないもどかしさに発狂寸前だ。
限りなく近いのに、限りなく遠く、その距離はまるで永遠のように君と下着を隔てている。

無意味であるとわかっていながらも君はさっきから、健気に顎を突き出して鼻孔を大きく開き、その部分に籠る芳香を吸引しようと試みているが、それは叶わない。
しかし、大きく鼻から息を吸うと、今日は一日暑かったから目の前の女性の股間付近から甘く湿った香りが感じられるような気がし、君はいっそう昂ってしまう。
ただ、なまじか僅かに芳香が感じられるため、それ以上前へ進めない君のもどかしさは余計に募る。

女性は唇の端を歪めて冷笑気味に君を見下ろしている。
君はその視線に身悶えながら、破廉恥な犬と化している。

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