2004-10-15

刻印

M字開脚で吊られているため剥き出しになっている君の股間は、妙につるりとしている。
つい先ほど、女王様によって剃毛されたばかりだからだ。
まだ剃り跡が青々としている。

大人の股間に陰毛がない光景は、非常に卑猥だ。
これで君は当分、人前で裸にはなれない。
しかも、その股間の性器は今、破廉恥にも限界までそそり立っている。
普段は皮に包まれている君のピンクの亀頭が、透明の液に塗れ光っている。
それは単なる歪な肉塊だ。
存在する価値もなければ意味もなく、途轍もなく醜い。

女王様が、鋭く尖った赤い爪の先端で、君の性器の裏筋を辿っていく。
その快感に君は体を震わせ、そしてペニスをヒクヒクと痙攣させる。
それに合わせて、さらにペニスから大量の液体が滲み出し、糸を引いて垂れていく。
「イヤらしい……」
女王様が指先による刺激を与え続けながら、君の耳元に唇を寄せて囁く。
そしてその液体を指先で掬い、君の顔の前に差し出す。
「ほら」
そういって、その指を君の口に押し込む。
君は歓喜し、狂ったようにその指を丹念に舐め、しゃぶる。
その舌の動きは、まるで別の生き物のようだ。
君の舌は女王様の指先に絡みつき、吸いついて離れない。
そんな君を、女王様は侮蔑の色を浮かべた表情で静かに眺めている。
やがて女王様は「はい、おしまい」といって、唐突に指を引き抜き、いったん君の傍から離れた。
そして後方に回り込んだため、吊られている君の視界から外れ、君は床から一メートルほどの上空で浮遊したまま、束の間の孤独に陥る。

音のない部屋の時間の進行は歪んでいる。
次に女王様が戻ってきた時、その手には剃刀が握られている。
白い刃先が部屋の明かりを受けて鈍い煌めきを放つ。
「おまえはわたしのモノ」
女王様はそういいながら、その刃先を、君の臍の下辺り、毛のない下腹部に押し当てた。
「印をつけておくわね」
女王様は楽しそうに残忍な光を瞳に宿しながら、君の下腹部に剃刀の刃を滑らせていく。
小さな痛みが君を包み込む。
白い肌に、赤くラインが刻まれていく。

君は息を殺してじっとその刃の動きを注視している。
やがてその赤いラインは『M』という字として結実した。
繊細な傷口から微かな血が密やかに流れている。
その赤は、性器の先端から溢れ出ている透明な液と混じりながら、キラキラ光っている。

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