2004-12-19

Holy Night

大きなガラス窓の向こう、超高層ビルの灯が、まるで夢のように輝いている。
君は全裸のまま、大きなガラス窓の前に立つ。
32階の部屋から見渡す夜の街は、光の洪水のようだ。
君は、真っ暗な部屋の窓辺で、まるで宙に浮いているかのような錯覚に捕らわれている。

ガラスに手をつき、眼下を見下ろすと、ホテル前の公園に、巨大なクリスマスツリーが立てられている。
色鮮やかな電飾が、行き交う人々の肩に光のシャワーを降らせている。
幸せそうな恋人達が、冬の舗道を寄り添って歩いていく。

背後で、グラスの中の氷が解けて崩れ、涼しげな小さな音を響かせた。
君は、その音でふと我に帰り、振り向く。
整えられたままの未使用のダブルベッド。
仄かに白く闇に浮かぶライトスタンドのシェード。
その傍らに、艶かしく夜の光を翻すボンテージの彼女。
彼女はベッドの縁に浅く座り、煙草を吸っている。
淡い煙が、繊細な指に挟まれた煙草の先から不安定に立ち昇り、揺れている。

彼女が煙草を消し、静かに立ち上がった。
そしてゆっくりと君に近づいてくる。
その右手には鞭、左手には毒々しいまでに赤いバイブレーターがある。

「窓に手をついて、尻をこちらへ突き出しなさい」
彼女の声が、鞭の一閃とともに君に突き刺さる。
君の下腹部に赤い鞭の跡が刻まれる。
「はい」
君は命令どおりの姿勢をとった。
その尻に、さらに鋭い鞭の痛みが走る。
「もっと高く!」
「はい!」
君は爪先立ちになって、必死に尻を掲げる。
と、そのとき、バイブのスイッチが入れられ、静かな室内に微かなモーター音が満ちた。
暗いガラスの反射の中で、彼女が鞭を捨てる。
そして、テーブルの上に置かれたローションのボトルに手を伸ばす。
やがて、尻に冷たい感触が伝わった。
彼女が、君の尻の肉を広げてたっぷりとローションを垂らし、君の卑猥な穴をバイブの先端でなぞり始める。
そして少しずつ、少しずつその異物感が君の中に入ってくる。
君は爪先立ちのまま膝を震わせてその感触に酔い痴れる。

ピストンが次第に大胆になっていく。
それに合わせて、君は窓についた手に力を込め、ゆっくりと淫らに腰を振る。
君の口から低い喘ぎ声が漏れ始める。
彼女はガラスの反射の中で、唇の端を歪ませながら、侮蔑の笑みを浮かべている。

君はガラス窓に額を押しつけながら快感に貫かれている。

午前零時五分前。
32階の窓から見下ろすクリスマスツリーは、世界を聖なる光で満たしながら、不思議な形をしている。

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