2004-12-06

日溜りの舗道

「オッサン、超笑えるー」
「ほんと、おまえマジでスゲーって」
制服を着た少女達の爆笑が君を包み込んでいる。

土曜日、午後二時四十三分。
雑居ビルの奥まった非常階段下、路地裏のような場所だ。
太陽の光も往来の喧騒も全く届いていない。
学校帰りの少女ふたりは、短いスカートに紺色のハイソックス姿だ。
君はその二人に取り囲まれるようにして地面に膝をついている。
しかもそのズボンのチャックは全開で、そこから勃起したペニスを露出している。
君は今、つい先ほどまで少女の一人が穿いていた下着を顔に被り、そのペニスを激しくシゴいている。
もうひとりの少女が、君の髪を鷲掴みにして顔を上向かせ、爆笑しながら強烈なビンタを浴びせる。
乾いた音が路地に響く。
君は下着の裏側から立ち昇っている刺激的な匂いと温もりに包まれながら、舌先でその源泉を探っている。
ペニスの硬度が一気に高まる。
君は無我夢中でその下着の裏側の布地に吸い付いた。
狂ったようにそのコットンの感触に酔い痴れ、湿り気を吸収する。
少女達が君を覗き込んで、おかしそうに笑い転げながら訊く。
「美味いか? オヤジ」
「ふぁ、ふぁい」
君はもう完全に我を失っている。


彼女達とは、ブルセラショップのエレベーターの前で出会った。
君が中古下着を買うためにその店に行こうとしてエレベーターを待っていたら、声をかけられたのだ。
「ねえオジサン、パンツ買いに行くんでしょ? だったら私達から直に買わない?」
君は驚いたが、その魅力的な提案には激しく心を揺り動かされた。
だから半信半疑ながらも、ドギマギしつつ訊いた。
「いくらで売って頂けるんですか?」
多分その口調と態度でマゾだとバレてしまったのかもしれない。
しかし少女達は、そのときは一瞬顔を見合わせただけで何も言わず、ニヤニヤ笑っただけだった。
「とりあえず、ついておいでよ」
そうして君は主導権を握られたままこの路地裏のような場所までやってきた。
そして下着を一枚五千円で買う交渉が成立した後、突然、少女が言った。
「オジサン、マゾでしょ? どう? 一万でイジめてやろうか?」
「えっ?」
君は虚を突かれて返事に詰まったが、次の瞬間に口を衝いて出た言葉は、それを全肯定する言葉だった。
「あのう、下着代とは別に一万ですか?」
君は上目遣いで彼女達の表情を盗み見るようにして、恐る恐る尋ねた。
すると少女の一人が手を叩いて爆笑しながら答えた。
「オッサン、おまえ超面白いよ。『込み』でいいよ、大サービス」
その回答に、君は意を決して一万円札を財布から一枚引き抜き、少女に手渡した。


「おらおら、もっとシゴけよ、オヤジ」
少女の一人が、君の後頭部をローファーの底で踏みつけながら言う。
「はい!」
君はペニスだけを露出しているという全く説得力のない姿を晒しながら、激しく自慰を続けている。
殴られても、踏まれても、嘲笑されても、気持ちが萎えることはない。
むしろ君はマゾヒストだから盛ってしまっている。
君は、自分の年齢の半分にも達していない少女達の足元で跪きながら、興奮を隠せない。
少女達は君を蹴り、唾を吐きかけている。
やがて射精の衝動が君を貫く。
君はペニスの先端から大量の精液を噴出させた。
「汚ねー」
「出しやがった」
少女達の爆笑が頂点に達する。

やがて少女達は去った。
路地に静寂が戻る。
君は自分の精液で汚れた手とペニスをハンカチで拭ってから、スボンの中にしまい、チャックを上げて立った。
頭に被っていた下着を取って、丁寧に小さく畳んでポケットに入れる。
服や顔に付着した少女達の唾もハンカチで拭いた。
そして尻や膝を払ってから路地を後にし、表通りに出た。

表通りに人影は疎らだった。
コンクリートの舗道に暖かい陽光が満ちている。
君はその日差しの眩しさに目を細め、ゆっくりと歩き出す。
さりげなくポケットに手を突っ込み、下着をぎゅっと握り締める。

日溜りの舗道に、君の影が長く伸びている。

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