2005-02-22

宴の前

全裸で首輪だけを装着している君は床に四つん這いになった。
その尻を、女王様がブーツの甲で蹴る。
「ほら、返事は!」
「はい!」
君は、自分よりも遥か年下の女性に尻を蹴られ、どうしようもなく昂ってしまっている。

これから君は、飼い主であるこの女王様とともに、あるパーティに出かける。
それは、サディストの女性がそれぞれ奴隷を連れて参加する、親睦会のようなものだ。
君は、この女王様の専属奴隷になって三ヶ月目だが、このような宴に参加するのは今回が初めてだった。
いったい、どのようなことになるのか、全く想像がつかない。
事前に受けた説明によると、全ての女性が君のような奴隷を連れて参加するのだという。
もちろん、その奴隷は全員いまの君と同じような格好で、リードでコントロールされるらしい。
つまり、ペット同伴のパーティーといった趣らしい。
その場で、奴隷達は、それぞれの躾の成果を見極められる。
「芸をしてみろ」との命令が下されれば、もちろん披露しなければならない。
しかし君は、実はあまり芸には自信がない。
というより、他の奴隷と比べられるという経験自体が、これまでに一度もないから、不安でたまらないのだった。
その不安な様子が態度に出ていて、君は女王様に「シャキッとしなさい」と叱責され、尻を蹴られたのだった。

君は女王様の足元で四つん這いのまま、緊張のためにカラカラに渇いてしまっている喉を潤そうと、生唾を飲み込む。
聞いた話では、今回のパーティーには、五十人近い女性が参加するらしい。
ということは、それと同じ数だけの奴隷もいるということだ。
なかには多頭飼いしている女王様もいるということらしいから、奴隷の総数は五十人を軽く越える。
女王様が君を見下ろして言う。
「いい? 絶対に私に恥をかかせるんじゃないわよ。もしもそんなことになったら、死ぬほど拷問して捨てるからね」
君は緊張に体を強張らせながら声を張り上げてこたえる。
「はいっ!」

君は女王様にリードを引っ張られながらドアへと進む。
この格好のまま、君は女王様の自宅からハイヤーに乗り、パーティー会場であるホテルまで行かなければならない。
これはひとつの試練だった。
ハイヤーの運転手は普通の人だし、ホテルには、一般の人もいる。
もちろんハイヤーは地下駐車場へ滑り込んだ後、スイートルームのフロアへ直行する専用のエレベーターにすぐにそのまま乗り込むことになるが、それでも、夜風に全裸を晒して行くことには変わりない。
そして、どこで誰に見られるか、わかったものでもない。
しかし、君に拒否する権利はない。
なぜなら、君はひとりの人間ではなく、一匹の奴隷だからだ。

奴隷に、羞恥心やプライドは必要ない。

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