2004-09-14

アンダーグラウンド

君は全裸だ。
両手は後ろに回されてきつくロープで縛られ、同じく足首も拘束されている。
そして、床に転がされている。
体の自由は全く利かない。
床で体を丸めている君の視界は傾いている。

この地下室に監禁されてから、ずいぶん時間が経過している。
しかし窓もなく、もちろん時計もないので、正確な時間はわからない。
でも、たぶん夜だ。
君は、暗くなってからこの地下室に入った。
君の狭い視野を、黒革のロングブーツが横切る。

この部屋には君の他に、ふたりの女王様がいる。
ふたりともとても美しく、そして厳しい。
彼女達の手には、それぞれ長い鞭が握られている。
その鞭がしなって、君の体を打つ。
ピシッと乾いた音が、コンクリート剥き出しの壁に囲まれた狭い地下室に響き渡る。
君は叫び声を上げて反射的にその鞭から逃れようとするが、それは叶わない。
君の体はすでに真っ赤だ。
無数の鞭の跡が全身に走っている。
ひどい蚯蚓腫れからは、血も流れている。

女王様のブーツの底が、君の頬を踏む。
君は不様に顔を踏み潰されながら、冷たいフローリングの床に押し付けられて、醜く顔を歪ませる。
もうひとりの女王様が、君の性器を蹴り上げる。
君は呻いて、反射的に体を弾ませる。

「ひどい格好だね、おまえ」

女王様が、君の顔を踏んだまま、頭上から笑い声を降り注ぎながらいう。
君は鞭の跡に沁みる鋭い痛みと、性器に残る鈍痛に身悶えながら頷く。

「おまえ、これだけ苛めてもらっておいて、感謝の言葉もなしか? えっ?」

もうひとりの女王様が君の尻を力いっぱい蹴りながらいう。
君は体を丸めたまま、息を弾ませながら呟く。

「ありがとうございます。ボクはとても幸せです」

「そうそう、それでいいんだよ、変態マゾ野郎。じゃあ、ご褒美でもあげましょうかねえ」

そういって君の顔から足を下ろした女王様は、ゆっくりとブーツを脱いだ。
ブーツの中は素足だ。
その白い爪先が君の顔の上に置かれる。
暖かい芳香が強く漂う。
女王様の可憐な足の指が、ゆっくりと君の顔の上を蠢く。
頬を踏み、鼻を摘み、唇を器用に挟む。
そしてやがてそれは、おもむろに君の口の中に押し込まれる。

「ほら、舐めろよ」

「ありがとうございます!」

君は歓喜し、狂ったようにその足の指をしゃぶる。
かなり不自由な体勢だが、たちまち性器がいきり立っていく。
それを、もうひとりの女王様が踏む。

「アン」

君はたまらず喘ぐ。
しかしその瞬間、君は不覚にも、女王様の足の指に歯を立ててしまった。

「痛いっ」

女王様が舌打ちして吐き捨て、足を引き抜く。

「申し訳ございません」

君は慌てて謝罪したが、とき既に遅しだ。
女王様の怒りは瞬時に沸騰し、簡単には収まらない。
再び激しい鞭の洗礼が始まった。
君は右へ左へ体を捩りながら小刻みに跳ね続ける。
その目には涙が滲んでいる。

鞭が空気を裂き肌を打つ音、君の絶叫、女王様の笑い声。

地下室の夜には、終わりがない。

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