2004-08-09

真夜中のテラス

君は今、全裸で真夜中のテラスにいる。
手摺りを両手で強く握り締め、心持ち尻を後方へ突き出している。
涼しい夜風が、君の全身を優しく撫でていく。
周囲には、建ち並ぶマンションの窓明かりが夜の中に浮かんでいる。
もう午前二時に近いが、窓の灯はまだそれほど少なくはない。
君の内部では、どこで誰に見られているかわからない不安と、露出していることに対する自虐的な喜びが、まるで悪魔の囁きと天使の微笑みのように激しくせめぎあっている。
その興奮のために、君のペニスは限度いっぱいまで反り返っていて、青い月光の中、卑猥に躍動している。
テラスの下には、樹木が鬱蒼と茂る公園が広がっている。
ところどころに街灯の青白い灯が散らばり、公園の入り口に設置されている電話ボックスの明かりが、妙に眩しい。

その電話ボックスの中には髪の長い女がいて、君のほうに背を向けながら受話器に向かって何やら喋っている。
君が今いる自室のテラスからその電話ボックスまでの距離は、100メートルもない。

「ほら、おまえの変態の姿をもっとしっかり晒しなさい」
背後から、そう声がして、間髪置かず尻に痺れるような痛みが走った。
女王様が君の尻を乗馬鞭で一閃したのだ。
「は、はい」
君は前方の闇を見据えたままこたえる。

電話ボックスの女がふとこちらに視線を向けたら……そう思うと、君の興奮はさらに募る。
しかし同時に、僅かに残されている常人としての理性が、自室のマンションでこんなことをして、もしも周囲の人に知れたら……と恐怖心をかきたてている。
それでも君はマゾヒストだから、どうしようもなく昂ってしまっている。

女王様が君の背後から手を伸ばし、体を密着させながら、君のペニスを握る。
甘い香水の匂いが漂い、長い髪が君の頬に触れる。
女王様が耳元で囁く。
「いやらしいチンポね、こんなにビンビン」
そういって軽くシゴく。
君はその快感に堪らず喘ぎ声を洩らし、腰を浮かせる。
「どこかで誰かがおまえの変態な姿を見てるわよ。もしかしたら、あの電話ボックスの中の女の子がこっちを向くかもよ」
女王様はそう囁き続けながら、手のピストン運動を早めていく。
君は手摺りをぎゅっと握ってその快感に耐えながら、目を瞑ってその律動に身も心も委ねる。
女王様が君の耳朶を強く噛み、「目を開けなさい」と命じる。
「は、はい……」
君は思いきって目を開く。
その瞬間、電話ボックスの中の女が不意に振り向き、君と目が合った。
一瞬のうちに、女の表情が変わる。
女は大きく目を見開きながら驚愕の表情を浮かべ、まるで吸い寄せられるように君を凝視する。
君は小さく「あっ」と叫んだが、そのとき、図らずも射精への衝動が突き上げてきた。
堪えなければ、と君は瞬間的に思ったが、無駄な抵抗だった。
君は女王様のしなやかな手つきによって、なす術もなく精液を放出してしまった。
白い精液が、月光を浴びて破廉恥な煌めきを翻しながら夜の空気の中に飛散する。
君の腰から力が抜ける。

電話ボックスの中の女は、受話器を耳に当てたまま硬直し、じっと君を見つめている。

1 comment:

andreeita said...

Hello!
From Chile South America :)